2002年9月14日(土)〜16日(月)
L長南・増田・松之舎・佐藤
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2002/09/14 虎毛:春川ダイレクトクーロワール |
虎毛山塊では、かつて虎毛沢を遡ったが、その他で長い藪こぎが無く、山頂に直接突き上げているとのこと、しかもダイレクトクロアールという名前に惹かれて、以前から行ってみたい沢の一つだった。今年、7月に計画が流れ、今回ついに実現した。
9月14日の朝、前夜とは違い良い天気の下、鬼首道路を越え下山予定の赤倉橋に車をデポする。
ツブレ沢〜赤湯又沢〜虎毛沢パーティの入溪を見送り、泥湯への観光道路をと入口まで行くと、土砂崩れのためか、道路工事で通行止め。やむなく、横堀経由で大湯に向かった。
着いたのは10時過ぎ。大幅な遅れのために時間節約にと、田代林道に回り踏み跡から入溪した。皆瀬川は思ったより水量が少ない。岩魚も見えるが、釣り師もいる。結局、時間節約に左岸の軌道跡の道を虎毛沢出合まで歩き、昼食にした。
昼食後、再度左岸の道に上がるが、廃道状態なので、すぐ沢に降りる。平凡な川原歩きに飽き、キノコを探しながら歩いていき、沢が出合うごとに探しに入る。収穫はヒラタケとキクラゲだった。
途中、せき止め湖があったという荒れた所を過ぎ、スラブが出始めると、やっと釜を持ったナメ滝となる。この左岸になんと残置ロープだけでなく鉄杭が打ってある。ここを過ぎ、沢が左に曲がると、三滝が見えた。しかもテント場としても最適。
三滝で酒の肴をともくろむが、逆に遊ばれてしまい、収穫無し。現地調達はキノコのみだったが、水に戻すと乾いたキクラゲが結構な量になり、マーボー春雨のみならず豚汁にも入れられた。
翌15日は、夜中に降った雨も上がり、焚き火で米を炊き、いつものようにゆっくり出発。これが最後に暗くなってしまう原因の一つになった。
三滝の本流に懸かる10mは左が直登できそうだが、荷揚げが嫌なので右の滝の中段から越す。以降はスラブとスラブ状のナメ滝やナメが続いて気持ちが良い。
途中からそれも亀甲模様になって写真を何枚も撮ってしまう。しかし、1時間もすると、両岸はスラブのままだが川原になってしまい、飽きたころに万滝沢に出合う。出合は万滝沢の方が平凡で、むしろ春川本谷が両岸のスラブが見え、厳しそうである。
さて、沢床がスラブの中を歩き始めてすぐに両岸スラブとなり、3m滝を左から越すと、釜が見える。天気は曇りだが、高巻くよりも行くしかないという感じで、一同、雨具を付けて泳ぎだす。
ここからスラブの連瀑帯で素晴らしい景色。1か所お助けひもの出番もあったが、楽しく通過する。沢が平凡になるとすぐに西又沢の出合だった。一見すると西又沢の方が面白そうである。いずれ、遡行して虎毛の左俣を下ってやろうと思い立つ。
本谷は水量がぐっと減り、小ぢんまりしてくる。そんな中、大岩やCSの先にスラブが見える。ここは沢が左折し、正面のスラブにわずかな水流がある。本流は8mと15mの登れないスラブ滝の連瀑だが、左、右と簡単に越す。
ここを過ぎると沢は平凡になり三又となる。気持ち的には水量の多い右に行きたくなるが、しょぼい真ん中が本流である。遠くに山頂台地と花崗岩の筋が見えている。あれがダイレクトクロアールだろうなどと話しながら真ん中に入る。しかし、直ぐに伏流となる。「大丈夫かいな?」などと思いながら進むと水流も復活し、両岸がスラブ状になってくる。その奥には登れない6mのスラブ滝が控えていた。この高巻きと荷揚げで手間取り、1時間位費やしてしまった。次の5mは問題ないが、続く7mは2人に空身で巻いてもらい、我々は荷揚げしたロープでゴボウをさせていただいた。
この先、ナメ滝を4つ越すと、石の押し出しが右から入るが、地形図で確認したところ、どうやらダイレクトクロアールである。この出合も、これまたしょぼい感じである。本谷は、大滝が近いという気配が感じられる。時間は、まだ1時ということもあって、のんびりと昼食をとる。
さて、ダイレクトクロアールに入ると直ぐ沢は左に曲がり、石の押し出しの先に大きなスラブ滝が見えてきた。このスラブは50m位あるが、水流もあまり無くフリクションがきくため、40m位はフリーで登る。最後は少々立っており、ザイルが必要である。我々は時間節約のため、右のブッシュから巻いて上に立つ。
以降は、登山体系によると30m以上の滝がいくつもあるということだが、1段で一番落差のあるのは20m位で、他は2〜3段となるため、それぞれ一息つける。また、いざとなれば樹林が近いため、高巻くことも可能である。勿論、沢全体の落差は、短い距離の割に高度差 600mとかなりあるが。
度胸のある人にお助けひもを出してもらったり、荷揚げをしたりもあったが、夕闇が迫る頃には源頭まで到達し、ガレ混じりの路岩帯から草原に出た。しかし、薄暗くて山頂台地が見渡せず、殆どヤブコギが無い筈が、右に寄りすぎたため、30分強はヤブをこぐ羽目になった。
最後は避難小屋近くの草原に出て、小屋がやっと見え、長い1日が終わった。まあ、予定どおりといったところか。予定どおりでないのは、もう1パーティがアクシデントのため、集中できなかったことで、このことは詳しく書いていただけるでしょう。
なお、小屋での夕食と朝食は地溏の水を使った。最初は嫌がっていた人もいたが、生水では使わなかったので、特段問題なかったように思う。また、小屋にあった毛布が冷えた夜に大変重宝した。
翌16日は、天気の中、私は湿原や地溏を見に行ったが、昔の記憶と大分違っていた。しかし、近隣の山々が良く見えたし、とても良い景色だった。また、昨日は詰め上げた後に左に進めば、ヤブコギが少なく地溏あたりに出ることも確認できた。
下山は、天気が悪くなるとの予報のため、フルスピードで行くも、最後の林道で降り出し、雨の中を駐車場で少ない酒を分けてもらい飲みつつ、越山さんを待った。(記:佐藤)
<<コースタイム>>
9/14 田代林道終点(11:30) 〜 皆瀬川本流(11:40〜11:50) 〜 虎毛沢出合(12:30〜13:05) 〜三滝下(15:45) ※途中、15分ずつ2回、キノコ採りをした。
9/15 泊場(7:45) 〜 万滝沢出合 (8:50〜9:10) 〜 西又沢出合(10:05〜10:25) 〜 三又(11:00〜11:10) 〜 ダイレクトクロアール出合(13:00〜13:50) 〜 源頭近くの三段滝(17:00〜17:15) 〜 山頂小屋(18:50)
9/16 小屋(7:10) 〜 高松岳分岐 (7:35〜7:50) 〜 赤倉沢の橋 (8:30〜8:45) 〜 赤倉橋駐車場(9:35)