虎毛・虎毛沢左俣〜春川西俣沢下降

2003年7月19日(土)〜21日(月)
L佐藤、古河原、関、望月

2003/07/19 虎毛:虎毛-春川

前夜、21時に池袋に集合し、車に乗り込んだ。雨が降っている。予報では、東北地方は土日も雨で、いまいち士気が高まらない。長い道のりを、3人で運転を交代しながらひたすら北上し、古川ICを降りて道の駅に到着したのは日付が変わった午前2時過ぎである。

現地も雨。スピード狂古川原が運転手を務めた長南さんパーティーはすでにテントを張り、酒盛りが始まっていた。濡れないよう建物の軒下にテントを張ったが、自動販売機のまぶしい蛍光灯や、人の足音などで睡眠は妨げられ、みな寝不足。いつも通りのパターンであろうか。

7月19日 雨
朝7時、雨のため自炊場のある温泉へ向かうといって車内で地図を広げる長南さんパーティーをおいて、我々は予定通り出発した。途中の道の駅で着替えを済ませ、立ち入り禁止のゲートを脇に退けて田代沢林道に進入する。その終点まで行く予定であったが、半分も進まぬうちに工事現場にぶつかり、やむなく少し戻った所に車を置き、徒歩で林道を下り始めた。佐藤さんは、下山直後の楽しみに、林道脇の小さな水流の中にビールを沈めた。

皆瀬川を渡渉し、虎毛沢出合いまで再び踏み跡を歩く。その途中自生するミツバを発見し、その採集にしばしの間足を止めた。12時過ぎに出合いに着き、樹冠で小雨をしのぎながら昼食をとると、遡行を開始した。

はじめのうちは普通の川原歩きだが、滝の沢を過ぎるとナメが現れ始め、所々亀甲模様も見られた。佐藤さんと古川原は竿を出すが、魚の姿がほとんど見えず、なかなか釣れない。雨に打たれながら歩き続け、赤湯俣沢との出合いに着いたのは3時。出合の滝の下で佐藤さんが一匹岩魚を釣ると、翌日の行程も考えて距離を稼ぐため、ここで竿をしまう。

虎毛沢はナメやスラブ多く、ナメでない所は岩盤が露出しているか、あるいは歩きやすい川原のようになっている。凝灰岩でフリクションもよく効き、高巻きが必要な滝もほとんどない。だから自然と歩くスピードが速くなり、立ち止まる箇所も少ないためかえって疲れが早くでて、ひたすら歩き続けるのが気だるく感じられてくる。まして雨である。そんな中、5時を過ぎテン場を探し始める頃になると、関さんだけは疲れ知らずなのか、一人猛烈な勢いで先頭を歩き出した。どこにそんな体力があるのかと驚かされるほどで、誰にも関さんを止める事はできなかった。

沢自体は、ナメが多く、小滝がいくつもあって面白い。2年前に来た時にナメや川底を一面に覆っていた黒いコケもなく、とても歩きやすい。一箇所だけ、カーブしながら岩盤を深くえぐった奔流があり、その部分だけ右岸を小さく巻いた。

6時過ぎ、広く平らなナメが続く所の右岸に、森に入ってしまうがテン場適地があり、そこで泊まることにする。一日降り続いた雨はますます強くなってきたが、樹冠の下で多少しのげるということもあり、例によって焚き火を起こした。「長南さんパーティーの方は今ごろ…」などと話しながら、我々はみな傘をさして焚き火を囲んだ。

7月20日 雨のち晴れ
7時ごろ起きてみるとまだ雨が降っており、時折、時雨のように雨脚が強まった。沢の水はにごり、平らなナメであるのに濁流のようになっていた。しばらくすると雨があがり、青空も見えるようになった。水量が減るのを待ったので出発は9時半になった。それでも水位は前日より30センチほど高く、歩き辛かった。

最初の3メートルのナメ滝を右から巻いた後、しばらく行くと倒木にキクラゲが生えているのを見つけ、夕食のおかず用に採った。ちょうど日も差してきて、ようやく楽しくなってくる。

二俣の手前には雪渓が残っていて驚いた。意外に大きく、スノーブリッジになっている。左岸のスラブに積もったのが雪崩れて、谷底に堆積したようだ。ここは雪渓の右側の端から乗り越えた。

二俣を過ぎると、そこからの滝は登るのが少し難しくなってくる。ほとんどの滝が両岸とも岩盤が露出していて、ホールドに乏しい。最初の5メートルの滝は右から直登、次の5メートルの滝はゴルジュ状の細い滝で、水流に平行して掛かっている倒木を利用して登った。しばらくすると、連続する2〜3メートルのナメ滝が現れた。これも両岸ツルツルで、どう登ろうかとしばし佇む。最初の3メートルは、倒木と岩の僅かな切れ目をヘツって古川原が最初に登り、荷揚げしてからお助け紐を使って登り、次の3メートルは空身で私が登り、あとはまた荷揚げとお助け紐で登った。

そこから先はナメと登りやすいナメ滝が続き、快適に進んだ。途中でワサビをみつけ、太い根はなかったので茎だけおひたし用に少し採った。最後の二俣は、人工的に造られたようなナメだった。完全に平らで、水深2センチほどのまっすぐな水流であり、まるで幅2メートルのコンクリートの歩道に水を流したような所だった。強い夏の日差しも照ってきたので、その水流の中に腰をおろして昼食を摂った。

ナメはどこまでも続き、稜線上に出る直前の僅かな水流さえ、ナメの上を流れていた。おかげで藪こぎをせずに稜線に上がることができた。

稜線を乗越し、西俣沢に入ると、こちらもすぐにナメが現れた。しかし急な下り斜面でのナメはかえって歩きにくい。小さな滝でも足場がなく、降りるのに慎重にならなくてはならない。また、中小の倒木がやたらと多く鬱陶しい。
ようやく視界が開けてきたと思うと、大きな滝が現れた。右からも同時に枝沢が滝となって落ちており、全体で一つのナメ滝になっている。本流の滝は緩やかに2段になっていて、懸垂下降でいけるように見えた。ところがザイルを投げてみると、高さの半分にも満たない。見た目よりも高く、30メートル強あるようだ。仕方なく右岸から高巻いた。

ここから先、滝が連続して非常に面白い。すべてナメ滝である。10メートルの滝は傾斜が緩やかで、左側を懸垂下降でおりた。その後、2〜3メートルの滝が4段連なるところが出てきた。それぞれの滝が円形の釜を持っており、黄色味を帯びた黒っぽい水がたまっている。上から見ていてとても印象的な地形だ。みな、左岸をうまくヘツって下っていたが、私は1段目で滑り、釜に落ちた。濡れたついでに3段目は滑り台で釜に突っ込んだ。下から見ると、水の流れ落ちる巨大な階段のように見え、圧倒された。
そこを過ぎるとすぐに、今の地形を大規模化したような2段の滝があった。2段目の7メートルのほうは、懸垂下降で下りた。

そのあとは、どうしても泳がねばならない釜があるという滝である。2段でチムニー状になった8メートルほどの滝で、水しぶきを浴びながら、奔流の中の見えないホールドや足場を探して降りなければならない。一段目が終わり滝が屈折する部分は特に水流が強く、佐藤さんや関さんは一瞬流されていた。上から見ているとそれも楽しそうであったが。釜まで下りる部分は最後には水流に流されて釜に押し出されるのだが、水の苦手な関さんはそこで足が止まってしまい、叫んでいた。

この釜の泳ぎがすむと、三滝までは穏やかな流れが続く。サイズの小さい足袋をはいた私がつま先の痛みでペースを遅くしてしまい、三滝までたどり着くかどうかあやしかったが、6時半過ぎに無事到着した。

滝壷の釜で、佐藤さんが良く肥えた尺ものもヤマメを見事に釣り上げ、快適なテン場で刺身にありつくこともできた。

7月21日 曇り
あとからここを通るかもしれない長南さんパーティーに、車の位置に関する置手紙をして出発。ひたすら川原歩きである。虎毛沢との出合からは行きと同じ踏み跡をたどり、同じ場所でミツバを採り、林道終点に突き上げる沢を登って林道に出た。

そこで昼を食べている所へ、温泉に入り着替えをした姿の長南さんたちが林道を下ってきて合流を果たした。雨が降ってきたので急ぎ林道を登り始め、佐藤さんは往きに沈めておいたビールを無事回収し、車にたどり着いた。(記:望月)

《コースタイム》
7月19日
田代沢林道終点(10:30)〜皆瀬川渡渉点(11:10)〜虎毛沢入渓(12:10〜12:40)〜赤湯俣沢出合(15:00)〜泊場(18:05)
7月20日
泊場(9:30)〜二俣(10:45)〜奥の二俣(12:25〜13:15)〜稜線(13:45)〜30メートル滝(13:45)〜万滝沢出合(17:25)〜三滝泊場(18:35)
7月21日
泊場(9:05)〜虎毛沢出合(10:35)〜田代沢林道終点(12:00)

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