焼石・尿前川本沢

2003年10月11日(土)〜13日(月)
L戸ヶ崎よ、戸ヶ崎ま、古川原

秋の集中である。今年はきのこの育ちが悪いと聞いているが、それでも焼石までいけば幾許かは有る筈であろうと楽しさに心浮かれる。そんな心持でバスにて眠り、朝6時前に水沢で降りた。

タクシーの運転手は中沼登山口まで親切に連れて行ってくれた。7時前着。30分後本流着。噂に聞くように本当に青白く濁っている。そこで3合分の手づくりの握り飯を忘れたことに気づき呆然とする。帰京後何やらぽちぽちと斑点模様を描いていた握り飯は行動食計画に大いに影響を与えかねなかったが、戸ヶ崎さんのご好意により何とか救われた。その後、8時20分発。

初め10メートルの斜瀑。そこまで簡単ではない。その後、ナメが所々続く中をハタシロ沢、フロ沢、傘沢を分けていった。傘沢の出会いの滝は先ほどから慎重になっていることもあって軽く巻く。

しばしナメを楽しむも右に大きくルンゼのある大滝に出合う。右のルンゼは一見行けそうでボルトもあるが、全く持って無理そうである。長南さんの助言どおり左から巻き始める。かなり高くまで登ることになり、しかも沢床に降りるときは懸垂である。なかなかしんどい。
小休止後、とても沢底狭くなっているところをなんとかへつったり、水中に隠れている足場を探しつつ前に進む。今度はなかなかに面白い。そして現れた12mを右のちょっとしたガレに登るものの、その先ろくな足場もない中を戸ヶ崎Lのリードで登る。いい時間がかかった。
降りるのはまたも懸垂。ここまで巻きは1時間ずつかかっている。ちっとも楽じゃない。しかも、自分が責任あるトップになってルート取りにある程度決定権を持つようになると、緊張で口の中が乾く気さえする。昼飯を食いながら次の30mは左から巻くことに決めるが、これがまたその越えるべき岸壁の高さを見てうんざりする。

降りられるところが無くしばらく巻き続けていたら地形図にある2つの滝マークの滝のちょうど上部に出てきた。おそらく2つとも10m級であろう。時間はもうすでに3時、これからナメ帯に入ったらテン場に明るいうちは無理だろうとのことで1つ2つ滝を登ったところにある、小さな小さな砂地を今日の泊場とした。夜には大造成の後できたデッキテラスで焚き火ができた。

翌日は、テン場からすぐにナメ地帯。地形図にある滝2つは大した事も無く越えられる。ここは開けていて気持ちのいいところだ。そして通称“天国のナメ”。なるほど、確かにこれはまるで舗装道路のようだ。まるで人工的なその様子にむしろ我々沢屋は美を感じてしまうのは何故だろうか?きっと不規則の中の規則は、喜びに似た驚きを与えてくれるのだろう。

しかしいつまでもその喜びに浸れるわけではなく、すぐに二俣の大滝は我々では登攀不可能であると判断した。確かに上のテラスで確保もできなくはないが、安全には替えられない。ここからの巻きは地図を読むと大分きつそうだが、そちらを選ぶ。その二俣のすぐ手前の支流との間の尾根を登っていく。一度途中の中俣の連瀑帯に降りることを試みたりはしようとしたが、やはり安全に乗っ越して中俣の穏やかな流れに降りた。
そしてそこからさらに登り小さい尾根を1つ越し、本流へと戻る。ここまで2時間の道のりだった。とても安心できる巻きではあったが大分時間がかかった。ただ、降り立ったお花畑が美しかった。

その後は大変気楽である。いくつかの滝も難なく越し、入った左俣にかかる藪がうるさくなってきた頃、登山道に出た。ハイカーたちの群れにとても珍しがられた。

本日の目的地は昨日の工程の遅れのお陰で、スギヤチには行かず胆沢川本流のどこかとする。歩き出してすぐに小岩沢パーティーと出会った。雄大に広がる草原の中で、なぜか折りたたみ傘を拾った。焼石岳を巻いてさらに進み、焼石沼に着く。恐らく、ここほど美しい山の中はないだろう。三方が山に囲まれ一方は空に続いている平原。しかも美しく光る沼も抱えている。ここに泊まりたい衝動を抑えて、緩やかなぶなの紅葉美しいトンネルを下っていった。

胆沢川のテン場はあまり広くは無かったが、まあ悪くはなかった。夜半から、強い雨の音で河原に取り残した物を思って不安に眠っていた。
強い雨は明け方まで続いた。なぜかひろった傘を差して流されかけていた靴を回収。気分はさえないがとりあえず出発。雨の中2時間ほど歩いて林道終点に着いた。と思ったら、そこにいた自然保護指導員の方にご親切にもジュネス栗駒まで送って頂いてしまった。林道終点からジュネス栗駒までのあまりにもの長さに、自分の幸運を噛みしめる。しかもジュネス栗駒の方に今度はバス停まで送って頂くという幸いも降りかかった。

そういえば、今回はきのこが全くといっていいほど取れなかった。これもまあ今回の恵まれた山行のことを思えば悪くはないのであろうか。だって、新庄からも新幹線に無事座って帰ってくることも出来たのだし。(記:古川原)

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