雪山レスキュー訓練:上越・土樽駅周辺

2004年2月7日(土)〜8(日)
増田、戸ヶ崎、五十嵐、満田、関

場所は例年と同じ土樽駅の魚野川を挟んだ対岸、早稲田大学の小屋の近く。この場所もすっかり定着したようだ。今年は雪の量は十分だった。メンバーは、五十嵐さんが初参加し、長南さんが風邪で参加できなかったため総勢5名となった。

12月13日(土)晴れのち曇り 訓練時間11:00〜15:00
訓練内容
㈰ 雪の断面観測
深さ2mほどの雪の壁を掘り出し、弱層の観測、フィンガーテストを行った。
表面から約0.7m、1.8mの2箇所にざら目状の弱層が認められた。また、表層0.7mはふかふか雪だった。両弱層の間はよく締まった単一層と思われる雪の層で、おそらく連続的に降り積もったものと思われる。
㈪ ハンドテスト
直径40〜50cmの円柱を掘り出し、ハンドテストを実施。上部のふかふか層の部分で崩れた。また、戸ヶ崎さんがシャベルぽんぽんテストのデモンストレーションを行った。これも表層でつぶれるように破壊。
㈫ 埋没者感触テスト
㈰で掘り出した雪壁を利用して横穴を掘り、その中に人が入って地表からゾンデで刺し、埋没者に当たったときの感触を知る訓練。
ざら目層に当たったときに抵抗が大きく、それを埋没者と勘違いする可能性がある。また、手足の部分では、ゾンデが両足の間や手と胴の間をすり抜ける場合も多いことを確認。さらに体が横向きに埋まっている場合には胴体部でもヒットする可能性が減る。そのため、ビーコンである程度範囲を絞り込んだら、かなり細かくゾンデを刺す必要性がある。
㈬ 埋没体験
今回は戸ヶ崎さんと埋没初体験の五十嵐さん、満田さんに埋まっていただいた。順番が後になるにしたがって次第に深く埋め、最後の満田さんは音も光もない息苦しさを体験したようだ。
㈭ ビーコン捜索訓練
発信状態にしたビーコンを雪の中に埋め、それを掘り当てる訓練だが、一種宝捜しゲーム的な楽しさに夢中になる。
埋没後15分が生存の大きな分かれ目になるため、準備5分、掘り出し5分として、捜索時間5分を目標に行った。なかなか見つけられない場合もあったが、ほとんどは2〜3分で見つけることができた。時間がかかったのは、2個のビーコンをすぐ近くに埋めた場合や深く埋めた場合などである。

初日はここまで。上りの上越線に乗り込み、今日帰る五十嵐さんとお別れして我々は土合駅で降りる。土合ステーションホテルでは例年通り奥の待合スペースに陣取って宴会。今年は後頭部打撲等による怪我人なし。女性二人は2時まで飲んでいた模様。

2月8日(日) 晴れ 訓練時間9:30〜13:20
訓練なんぞにはもったいないような快晴のもと、悪態をつきながら昨日に引き続き二日目の訓練を実施。今年の訓練は搬送法に力を入れてをやろうということで、二日目は掘り出し、搬送を中心に実施。
㈮ 埋没者掘り出し訓練
掘り出しのポイントは、埋没者を直接外気に当てて低体温症を引き起こさないこと。そのために以下の手順をとる。
1) まず頭を先に掘り出す。これは呼吸確保のため。頭部を掘り出したらジャケットなどで保温する。
2) 頭部以外の掘り出しにかかる。このとき体の周囲に10cm程度の雪を残して掘り出す。これは体を直接外気に曝すことを避けるため。
3) 体全体にツェルトやレスキューシートなどを掛け、シートの中に手を差し入れて残りの雪を払い出す。
4) シートを体の下に回しこむようにして包み、皆で抱きかかえて安全な場所に運ぶ。
5) そこには予めツェルトを広げた上に銀マットを敷いた物を設えておき、そこに事故者を置いてツェルトで包み込む。
6) 所定の方法で梱包し、引っ張るためのアンカーを結びつける。
気づいた点
・ 掘り出す際に体に掛けるシートと、搬送の際に包むシートは別物でないとやりにくい。通常ツェルトは1パーティーに1枚しか携行しないため、それは搬送用に使うこととし、掘り出す際の保温シートはレスキューシートを使ったほうがよさそう。
・ 4)の作業は困難を極める。シートをきちんと体の下に回しこんで包むことが難しいし、今回のように4人しかいないとき(通常3〜4人と思われるが)3人で抱きかかえて運ぶことは無理。そこで、すぐ横に少し深めの穴を掘り、そこにツェルト+銀マットを敷いておき、埋没者を掘り出したらそのまま転がすか滑らせて移動させ、その場で梱包するほうが現実的。ただし、その場での作業時間が長くなるため、二次雪崩の危険性が低いことが条件となる。
・ 梱包の際、首や肩には手厚くクッション材を敷いたほうが事故者の苦痛が和らぐ。
㈯ 搬送訓練
事故者を梱包したツェルトなどにシュリンゲを結びつけてそれを引っ張るわけだが、ラッセルを伴う深雪などの場合にはほとんど絶望的な作業である。雪に足がとられて思うように進まない。まして上り坂ではなおさらである。あらかじめラッセルしてトレースを付けておくとかなり違う。
それにしても長距離を運ぶことは無理があり、事故場所から安全な場所やヘリなどのピックアップしやすい場所に移す程度に限られる。
事故者搬送は魚野川を渡る橋までと計画書には書いてあったが、数m移動させるのが精一杯だった。大変さを経験できただけでも意味はあったと思うが。
急斜面を支点をとって確保しながら降ろすというシミュレーションも手付かずのまま課題として残ってしまった。
掘り出し、梱包訓練では一応全員が事故者役をやり、事故者の身になってどこをどうすると良いか経験できたことは意味があったと思う。

この後最後に、再びビーコン捜索を行って訓練を終了した。
その他ビーコンの性能に関する確認事項
・ トラッカーの距離表示はビーコン同士の直線距離を表示するものではない。地上に露出した状態で確認した所、目測30m程度でも距離表示は40m、目測20mで25〜30mと、実施の距離よりも長めに表示する傾向を示す。
・ 発信側ビーコンの向き(水平・鉛直)によって距離表示が異なる。
余談ですが、二日目の昼の休憩時にはそり遊びに興じたことも付け加えておきます。面白くて結構はまりました。(記:増田)

(初参加の感想)
雪山レスキューに初めて参加した。スコップとワカンを忘れるくらいぼけてしまっていたのだが、一から説明していただいたので内容はよくわかった。(来年どれだけ覚えているかは?) ご指導ありがとうございました。ビーコン操作でビーコンの掘り出しはなかなかおもしろかった。操作だけなら公園でもできるので、スキーに行く前にはきちんと使えるようにしたいと思う。(記:五十嵐)

Pocket
[`evernote` not found]

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です