スキーツアー雑感

テレマークスキーによるツアーを始めてから十数年になります。休日を全部埋める勢いで足繁く雪山に通ったものですが、足の故障や、体力、気力の衰えを自覚するに及んで山行回数も激減してしまった今日この頃です。自分にとって、体力の最も充実した時代の中心に据えた(或いは取り憑かれた)テレマークツアーとは何だったのでしょうか。

単独行
単独での長期ツアーの記憶は心に深く刻まれています。休暇の都合や、他の仲間との日程調整のこともあって回数は多くありません。計画を出しても無理筋と受け止められ、誰も乗って来ないと単独行が必然となるわけです。自分としては、地形図を夜が明けるまでむさぼり読み、練りに練った末の自信作なのに、誰もいっしょに行かないのです。
単独行はプランニングの楽しみ、入山前の恐怖感(びびったこともある。)、行動中の判断と迷い、突破、下山直後の安堵感など全てにおいて密度が濃い。撤退することの方が多かったけれど、雪山の厳しさを知るにはいい経験をしました。

獣たち
スキーツアーではよく獣に遭遇します。カモシカ、野兎、猿、熊、貂など実物や足跡を見かけることがあります。雪深い森の中で彼らに会うと、嬉しいのと怖いのと何やら不思議な気分になります。
グループ山行でも獣たちに遭遇しますが、単独行のときは少し様子が異なります。向こうからこっちにやってくるのです。夜、テントの中では一人黙々と酒を飲む他に何もすることがなく、会話もありません。ひっそりしている中、外に出てみると、数十メートル先の方で複数の小動物がゆらゆらと光を放ちながら動いていることもありました。(これを狐火というのだそうです。)
怖いので、寝るときはメガネをしたままで傍らにはピッケルを置いておきます。深夜、テントの生地を隔てたすぐ外側(つまり耳元)でグサッ、グサッと雪を踏み固める音が聞こえます。寒いのと怖いのとで外に出られず、よく眠れないまま夜が明けます。翌朝、テントの周りを見回しても新雪が積もっていて足跡は確認できません。
同じ日、沢に向かって斜滑降していると、巨大な物体が2つ、斜め上から弾むような勢いで粉雪を蹴散らしながら降りて来て、危うく衝突しそうになりました。キャーッという悲鳴と共に回れ右した彼らは、降りて来た方向に駆け登って行きました。カモシカの脚力はケタ違いに凄い。

テレマークツアーの記憶は古くて新しい。今はコンディションが良くないけれど、きっと復調できると思っています。テレマーク、やめられまへん。でも近頃の冬山は雪がないねー。(とよ)

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