2004年7月17日(土)〜19日(月)
L増田、戸ヶ崎、松之舎、山口
今年の夏合宿は、奥利根に入ることで話がまとまったので、3連休を利用して、その足掛かり的な計画を試みた。
それは、楢俣川の大石沢右俣中沢〜利根川東千ヶ倉沢下ノ俣沢下降〜上ノ俣沢〜矢種沢下降〜楢俣川本流の一周コースでなかなかに渋いのである。
入渓前数日間の大雨の影響が気になった。
【7月17日(くもり・夜雨)】
前夜に湯檜曽でSBした我等と楢俣川本流パーティは、どうせ朝から雨だろうと高をくくっていたが、予想に反して雨はやんでいる。出遅れのスタートとなった。
ゲート手前に車を置いて、長い林道を歩く。蒸し暑い。1時間ほどで大石沢の対岸に着いたもののダム湖の水位は下がっておらず、100m近く泳がねば入渓できない。浮き輪を持参する者もいたが本気で泳ぐつもりだったのか。
仕方なく、大石沢を諦めて、その一つ上流の西桶小屋沢から入渓することとする。西桶小屋沢の出合付近はダム湖の末端そのもので、増水した楢俣川は渡れそうもないがダム湖によって水圧が緩み容易に渡れた。なお、出合近くの斜傾した鉄橋は使わなかった。
入渓すると、しばらくの間小滝が連続し涼感たっぷりで気持ちが良い。流れは平凡で両岸から木々が張り出している。ナメ滝の点在する小綺麗な沢でさしたる悪場もなく、右俣の左沢から右岸尾根の鞍部に乗っ越した。
見通しの利かない鞍部から、大石沢右俣の支流に向けて潅木伝いにさっさと下る。下り立った支流は穏やかな流れだ。ここから右俣に下降する間に思わぬ発見があった。私の見立てで5段35mの大滝。左岸の急な小尾根を木の根を掴みながら巻き下るが、途中、横目に見た滝は美しくも迫力のあるすばらしい景観であった。この支流の名前は知らないが、大石川右俣右前沢と仮称しておこう。
右俣に出ると沢幅はさすがに立派になる。小さなゴルジュやナメ滝は左からへつりで越え、綺麗なナメや2〜5mの滝も問題なく通過できる。ただ、予想したよりも内容が濃かったことと、遅い出発、スローペース等のため楢俣川右岸尾根を越えられず、1165m付近での幕営となった。夜半、雨強く増水。皆を起こす。たとえ、狼少年のような扱われ方であっても今後も続ける。
【7月18日(くもり)】
昨日の段階でコースの一部短縮を決めていたが、更に短縮し、右沢の東側の尾根を乗っ越して矢種沢の一ノ沢を下降することに変更する。楢俣川の増水が心配なので今日中に渡渉してしまおうということ。
幕場を出てすぐに出合う6m滝を左岸のルンゼから巻いて、水量比1対1の二俣を右に入り、次の同様な二俣を左に。小滝をいくつか越え、東側稜線の最低鞍部を目指して進路を取る。途中で尾根に乗ってしまうがむしろ都合よく稜線に出られた。
薄い藪の中を下っていくと次第に水量が増し、一ノ沢の左俣となる。右俣と合流し、ナメ滝やゴルジュのトイ状小滝をへつりで越え、更に逆くの字のナメ滝を過ぎたところで左岸壁のそそり立つ滝場に出た。落差は10m位か。その先は、幅が狭まり左へ屈曲し、右に折れるところで次の滝の落口となっている。
このS字状のゴルジュは通過が不可能なので、右の涸れた窪の藪を掴んで強引に高巻く。斜度がきつく高度感がある。ゴルジュの出口の滝がよく見えた。落差10m位であろうか、末広がりで格好がよい。小尾根を2本ほどトラバースで越え下降点を見出そうとするが、傾斜が強い上に、一ノ沢の下流に不安定に見える大きなスノーブリッジが数箇所あるので、右岸の尾根を越えて隣の小沢に乗り換えることとする。
石楠花のうるさい尾根を越え、名もない小沢に入る。岩盤の発達した沢で、小沢でありながら傾斜のかなり強いナメ滝が連続する。左右の藪を掴みながら急激に高度を下げる。やがて平らになって藪っぽくなったころ、矢種沢方面からの楢俣川右岸道に出た。この名も知れない小沢は仮称・前矢種沢と言いましょう。
増水後、幾分か水位が下がったであろう楢俣川本流を慎重に渡渉し実質的な遡行終了。このあとは、林道を歩いて東桶小屋沢出合の段丘を幕営地とする。1日余ってコースも縮小したけれど、収穫の多い山行だった。(記:戸ヶ崎)
<コースタイム>
7/17 楢俣林道ゲート(9:45)〜西桶小屋沢出合(10:10-10:50)〜1040m二俣(10:50-11:00)〜1250m鞍部(13:10)〜大石沢右俣 (14:20)〜左沢二俣(14:50)〜1165m幕場(15:40)
7/18 幕場(10:10)〜1500m稜線鞍部(12:30)〜一ノ沢連瀑帯上(13:45-14:10)〜右岸尾根(15:30-15:50)〜仮称・前矢種沢(16:10)〜楢俣川右岸道(17:10)〜林道(17:40)〜東桶小屋沢出合(18:30)