奥利根・楢俣川本流〜オミキスズ沢〜割沢右俣左沢下降〜赤倉沢三ノ沢〜水長沢小日陰沢下降〜水長沢本流〜平ヶ岳

2004年8月7日(土)〜8月12日(木)
L増田、戸ヶ崎、松之舎

8月7日《曇り時々雷雨》
JR水上駅からタクシーに乗り、ゲート手前で下車。いよいよ夏合宿の始まり始まりだ。水上駅では暑いくらいの天気の良さだったが、ならまた湖岸を歩いていると灰色の空がドンドンと鳴り始めた。しばらくすると雨が落ちてきた。

狩小屋沢出合の先で本流を渡渉して右岸の道へ。7月の増水時にはザイルを張って渡った場所だが、平水時なら膝下程度で何の問題もない。
矢種沢をすぎてそのまま右岸の小尾根に上がる登山道を登る(きつかった)。日崎沢出合手前まで続いていたという旧鉱山道だろうか。結局、この道はすぐに引き返してきて矢種沢出合から入渓。ゆったりとした楢俣川を行く。途中、右岸と左岸に1ヶ所ずつテン場適地がある。7月の長南パーティの停滞地はどちらだったのだろう。
しかし、この後はあまり良いテン場が無く、ススケ沢と沖矢種沢の十字峡出合までたどり着き、左岸の快適なテン場にて1泊目となった。
夜は焚火もできて、戸ヶ崎さんのジンギスカンを美味しくいただく。翌日から反軽量化とも思える戸ヶ崎さんのザックの中身が次第に明らかになることに・・・

8月8日《晴れのち曇り時々雷鳴》
テン場を出発してすぐ左岸から入いる中沢は水量が少なく、ただの枝沢にしか見えなくて見落としやすい(実際見落とした)。そのおかげで、勘違いして前オミキスズ沢に入ったが、すぐに引き返す。
オミキスズ沢出合は、おにぎり型の三角の大きな岩が目印だ。オミキスズ沢にはいると急な連瀑帯になりぐんぐん高度を上げていく。15mFは右のブッシュづたいに登る。7mFと4mFは右から巻く。源頭部は小滝の連続だ。
地形図のP1606の少し北の鞍部を乗っ越して割沢右俣左沢を下降し始める。割沢は中流部あたりまでなかなかボサがとれずうるさい。
左俣との二俣のゴルジュは左岸を高巻く。高巻き中にゴロゴロとまた空が鳴り始める。一時退避した後、高巻き再開。途中から小尾根に乗り、最後は二俣のすぐ下流の地点に下降した。
午後7時前に5mFの下降で最後は釜に首まで浸かって突破する。
午後7時になってようやく1070m付近の右岸にわずかなスペースを見つけて落ち着く。
増水には耐えられない場所なので、雨が降らないことを祈りつつ就寝。

8月9日《晴れのち雨のち曇り時々雨》
昨夜は幸いなことに雨は降らなかったようだ。昨日の行動終了が遅かったので、朝はゆっくりの出発になる。
4段連瀑と8mFは右から巻く。3mFは釜の右をへつる。連瀑のゴルジュは右をへつった後、釜を泳ぐ。斜瀑の5mFは青筋入り。直瀑7mFは右岸のリッジを懸垂下降する。
このあたりから登山大系にもある「青筋入りのナメ」とやらが断続的にでてくるのだが、正直言って「どこが青いの?」といった感じ。しかし、割沢自体が美しい渓であることに違いはないが。
ナメをすぎると渓相が変わり広い川原になる。いよいよ奥利根湖だ。
奥利根湖は水位が低かった。これでは渡し舟も水長沢は無理で割沢出合までだろう。赤倉沢出合までドブ臭い湖岸沿いを行ってみようと試みたが、しばらく行くと奥利根湖の泥の中に引きずり込まれそうになったので止む無く断念。ただ下半身が泥だらけになっただけだった。素直に地形図の平らな所を乗っ越す(こちらのほうは全然楽)。
赤倉沢出合は素晴らしいテン場だ。なにが素晴らしいかって四方八方マキだらけ。1ヶ月間くらいは楽に燃やせそうだ。当然、増田リーダーは一世一代の焚火ができる千載一遇のチャンスと考え午後1時前なのに「本日、中日にてここに泊まります!」と高らかに宣言。後は、隣に釣り師のパーティがいるにもかかわらす、3人素っ裸で赤倉沢に入り沐浴と洗濯をすることに。良い中日でした。
※赤倉沢出合右岸にピンクの長いテープ(新しい)がぶら下がっている。これは赤倉沢出合から水長沢出合までの湖岸道の入口と思われる。少し登ってみたところヤブっぽくなるがテープは続いていた。我々がいる間も、奥利根湖の水位が低いため割沢出合で舟を降りざるえなかったのだろう釣り師パーティ2,3組がこの道を歩いて行ったようである。

8月10日《晴れ》
赤倉沢は最初はしばらくゴーロが続く。釜付3mFは右から巻く。ゴルジュは胸まで浸かるが楽に通過できる。細いゴルジュの中にCS2mFがある。釜付トイ状3mFは釜に首まで浸かる。
いよいよ核心部のゴルジュだ。10mFは増田さんが空身で水流の左側をリードして登り、荷上げをする。すぐ上の3段15mFは、ほとんどスタンスの無い1段目を増田さんがハーケンを2ヶ所打ち、アブミを作りながら空身で登る。2,3段目は直登でき、落ち口の所から3段まとめて荷上げをした。私はこの核心部で激しい腹痛に襲われ、全く役立たずのヘナチョコ状態であった。
三ノ沢に入ると渓相が変わり渓はV字状になっていく。三ノ沢のツメは1.5時間生き地獄のような辛さだ。沢形が無くなり右の小尾根をツメるが、これがすごい傾斜で腕で潅木をつかんでないと滑落してしまう。30分程なんとか体を引き上げたが腕がパンプしそうだ。細い沢が右側に見えたので沢をツメることにするが、この沢も急斜面の細いスラブで当然落ちたら命は無い・・・
しばらくすると腕でしっかり潅木を持てるほうがまだ少しはましかと思いだし尾根にもどる。しかし、やっぱり辛い。計1.5時間程苦しみ抜いた後、ようやく稜線(1480m)に到着。稜線といっても地図で見るよりもずっとヤセていて幅1m程だ。やれやれやっと下りかと思ったが、この小日陰沢の下りがまた大変だった。急な枯滝の連続。クライムダウンと懸垂を繰り返していく。底の見えない枯滝を30mダブルで懸垂+お助け紐で下降した後、1130m付近の二俣でようやく水が出てくる。時間も午後7時になっていたので次の二俣の左岸に猫の額程のテン場を作りようやく落ち着く。その夜は沢風が冷たく何度か目が覚めた。

8月11日《晴れ》
今日も朝からガレと倒木だらけの急な小日陰沢を下降していく。2時間程高巻きと懸垂を繰り返して、ようやく水長沢に出た。
水長沢はこれまでとは打って変わって川原は幅広で流れはゆったり。ゴルジュは腹まで浸かって通過。釜や淵がエメラルドグリーンでとても美しい。昨日から三ノ沢、小日陰沢という性悪な渓を遡下降してきただけに、「水長沢って何て綺麗な沢なんだ!」と感激してしまう。
魚止沢出合もミニゴルジュだ。3段10mFと8mFは約1時間かけて左岸を巻き、最後は落ち口すぐ上に懸垂で降りる。上から見ていると釣り師(空身)が8mF下まで来ていたのでその下はヘツれるようだ。次のゴルジュは1つ目の釜は左をへつり、2つ目の釜は左を泳いでいく。黒鉛の沢の出合まで釜や淵がエメラルドグリーンでとても美しい。昼食時には戸ヶ崎さんの素麺(4束もっていた)を少し御馳走になる。
8mFは左を低く巻く。エメラルドグリーンの美しい淵をもつゴルジュの突破は容易だ。最後の小滝は胸まで浸かって通過する。このあたりは穏やかな流れで綺麗な川原だ。
CS2mFは釜の左をへつり泳いで突破。逆くの字6mFは左のルンゼから高巻き30mダブルの懸垂で降りる。
水長沢の上流はテン場になりそうな所がなかなかない。ようやく、1385m付近の右岸に適当な場所があり落ち着く。
夜は広い夜空に満天の星がきらめく。

8月12日《晴れ》
今日は合宿のフィナーレで平ヶ岳までのツメだ。天気も良く高度を上げていくと傾斜も急になり結構キツイ。最後少しだけヤブを漕いだらヒョッコリと草原に飛び出す。パノラマで素晴らしい眺めだ。合宿の最後にはふさわしい場所だ。
木道にでると我々もハイカーになりすまして「こんにちは〜」を繰り返しながら平ヶ岳を通過し、ヤセ尾根の登山道を下り登山口に到着。しかし、ここは携帯電話がつながらないため1キロほど只見川沿いの車道を北に歩き清四郎小屋で電話(衛星電話)を借りてタクシーを呼ぶ。清四郎小屋はビールを買った(5本)にもかかわらず中に入れてもらえなかった。さらに、山の中よりもこの小屋周辺が一番アブがひどかった。
浦佐駅から新幹線に乗り、無事帰京と相成りました(残念ながら温泉はなし)。(記:松之舎)

<コースタイム>
7日 ゲート出発(10:40)〜矢種沢(13:30)〜矢種沢出合(14:10)〜前深沢出合(14:38)〜日崎沢出合(15:25)〜奥矢種沢出合(16:55)〜ススケ沢・沖矢種沢出合(17:15)、泊
8日 テン場出発(7:25)〜前オミキスズ沢出合(8:00)〜オミキスズ沢出合(8:40)〜1470m付近二俣(10:23)〜鞍部(11:40)〜割沢右俣1300m付近二俣(13:28)〜割沢1180m付近二俣ゴルジュ高巻き終了(16:25)〜1070m付近テン場(19:00)
9日 テン場出発(8:30)〜割沢出合(11:40)〜赤倉沢出合(12:25)、泊
10日 テン場出発(7:20)〜10mF落口(10:40)〜3段15mF登攀終了(12:05)〜三ノ沢出合(13:22)〜1210m付近二俣(14:07)〜1480m稜線(16:00)〜小日陰沢1150m付近二俣(19:00)〜1135m付近二俣(19:05)、泊
11日 テン場出発(7:15)〜水長沢出合(9:07)〜魚止沢出合(10:00)〜P988(10:08)〜高巻き開始(10:20)〜高巻き終了(11:30)〜黒鉛の沢出合(12:35)〜文珠沢出合(12:43)〜白沢出合(14:28)〜銅の沢出合(15:58)〜1350m付近二俣(16:40)、1385m付近テン場着(17:10)
12日 テン場出発(7:35)〜稜線(10:30)〜平ヶ岳〜登山口(16:10)

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