台高・往古川真砂谷〜大杉谷支流堂倉谷ミネコシ谷

2006年5月3日(水)〜5日(金)
L大塚、増田、五味渕

2006/05/03 台高:真砂谷~ミネコシ滝

久々の春合宿3パーティー。我々は5年前に他メンバーが行っている真砂谷に入ることになった。当時のメンバーに聞くと、誰もが口をそろえてその滝の豪快さを褒め称える。期待に胸膨らませて行ったものの・・・・・・。

5月3日(水)晴れ
夜行バスを「三交海山」で降り、予約してあったジャンボタクシーに小木森谷パーティーとともに乗り込む。途中の林道から遠くに今回のメインの一つである八町滝が拝めるはずであるが、・・・・・?見えない。おかしいな。
タクシーをヘアピンカーブのところで降り、用意をして入渓。5年前には川幅いっぱいに流れていた水が今は幅3mくらいか。水量が少ない。また、入渓点辺りに堰堤ができており、様相も一変している。真砂谷の出合は堰堤の上流であるが、堰堤下流の右岸が崩れており、我々はそこから入渓した。おそらく、大水のときに水の勢いで崩れたものであろう。堰堤構造にとって底盤・側壁の岩盤とのコンタクトは生命線。きちんと手当てしないと、この堰堤もそう長くはないな。などと余計なことを考えながら真砂谷に入る。
入渓後しばらくは平凡なゴーロ歩き。いい天気で、真夏の沢登りのように汗をかきながらの遡行となる。沢が南に曲がったころから小滝が出始める。やがて沢が北向きになって所に15mの直瀑が出現。左の斜面から巻き始めるが、途中壁にぶつかり、大塚さんトップでお助け紐を出しての渋い巻きとなる。後でもそうなのだが、この沢の高巻は中途半端に小さく巻こうとすると、壁に阻まれるようである。
巻き降りたところはゴルジュ帯であり、5年前の記録では通過不能と判断して上流までまとめて巻いているが、今日は何でもない。沢のグレード、ルートは水量によって左右されることは今更言うまでもないことであるが、改めて実感する。五味渕君とは初めての山行だが、歩き方はもとより、へつりや登攀、下降も安定しており問題ない。
再び沢が北に屈曲するところで8mの滝。これも左の斜面から高巻く。巻き降りたところから下に滝が2本見える。おそらくその下が最初の8m滝だろうと推測。
ここから八町滝までは巨岩のゴーロが続く。一つ一つを乗り越えるのに大変な労力を使う。大塚さんに登ってもらい、後続は空身か確保ということもしばしば。テン場を捜しながら進むが、水は伏流となり、テン場なんかありゃしない。八町滝の手前で勾配が一段と急になり、スラブ地の巨岩ゴーロになる。いくつかを越えて振り返ると熊野灘に浮かぶ島々が見えた。先を行く登攀隊長の大塚さんから、「悪いので巻くように」との指令が出て、後続二人は右岸のブッシュに入り、最後は振り子トラバースで沢に戻る。大塚さんはスラブをそのまま登り切ったが、彼にして最後は空身で際どかったとのこと。
見上げるその先の天空に豪快に水を噴出す八町滝はあった。はずであるが、今日は大分様子が違う。水は途中で霧となって空中に雲散霧消し、わずかな流れが岩盤を伝いだらだらと流れて落ちてきている。思わず「しょぼい!」といったら、リーダーから「これを見に来たんだからそんなこと言わないでくれ。」と言われた。でも、しょぼい。
結局テン場はないので、八町滝を高巻くことにする。左の枝沢を登り、途中を右の窪みにルートを取る。落石を起こしやすいザレ場を登り切り、そのまま反対側にノーザイルで下降し、落ち口上部に降り立つ。少し行った所に絶好のテン場を見つけ、初日の荷を降ろした。

5月4日(木)曇り
昨日予定以上に捗ったため、今日の出発はゆっくり目の9:00。今日はいよいよ上部の大滝を見る日だが、あいにくガスがかかり視界がよくない。大滝前衛の12mの滝を左の斜面から巻き始め、しばらくすると、前方に大滝の下段と思しき20m位の滝が見える。一旦沢に下りて下まで行って見る手もあるが、どうせ登れないだろうと、そのまま巻くことを決める。巻きは細い尾根上の獣道で、しんどいが特に問題はない。巻き道の途中から大滝を見ようとするが、ガスに阻まれ、ついにその全貌を確認することは叶わなかった。
大滝の上は打って変わった穏やかな渓相で、5年前のメンバーが増水した沢を巻いてここに降り立ったときの喜びと安堵の気持ちがよくわかる。多少の小滝とトリカブト、バイケイ草の毒草畑を経て稜線に出た。
下りの沢は(名もない沢であるが)何もない沢という事前情報どおり、ゴーロだけの本当に何もない沢で、40分で堂倉谷本流出合に出た。そこは林道であったが、寝心地の良さそうな草むらと大量の薪に惹かれ、また明日の行動には時間的な余裕もあることから、ちょっと早いがここを泊場とした。12:00の交信は通じなかったが、14:00の交信で小木森谷Pと連絡が取れ、あちらもほぼ予定通り行動しているとのこと。
先程ここで出会った釣師の話では今日は全く食わなかったとのことだが、時間もあることだしと大塚さんは釣りに出かけ、我々は焚き火の準備に取り掛かった。焚き火に火がついたころ、小木森パーティーが到着した。予定どおり堂倉谷右俣に行くとのことで分かれた。
この夜は盛大な焚き火ができたが、冷え込みがきつく、シュラフを持たない二人はあまり眠れなかったようだ。

5月5日(金)晴れ
ミネコシ谷出合まで、林道はつまらないので堂倉谷本谷を行くこととする。堂倉谷はゴーロの中に所々釜や渕が出てなかなかきれいな谷だ。あまごの魚影も見える。
ミネコシ谷の出合は5m、4mの滝を掛けている。もっとしょぼいかと思っていたがちょっと意外。その後も適度な間隔で登れる滝が出てきてなかなか面白い。1100m付近の二俣は両方滝を掛けて出会っている。左が本流だが登れないため、右の5mの滝を登り左へ乗越す。しかしここは左からも流れが来ており、つまり左俣が二つに分かれたその片方(右側)に右俣が合わさっているという変わった地形になっていた。
今日は昨日とは打って変わった雲ひとつない好天で、滝登りも楽しい。青空と新緑にミツバツツジの鮮やかなピンクが映える。核心は沢が北向きに流れを変える所の連瀑だろう。9mすだれ状の滝を皮切りに、小滝の後、4段15m。最後の9mの滝は右から登れそうだが、茨に行く手を阻まれ、結局左から高巻いた。
谷が西に向きを変えるといきなり緩いゴーロとなる。やがて毒草畑の中をうねうねと流れる穏やかな流れとなり、源頭部では伐採された倒木が進路を遮りすっきりしない。12:00の交信で小木森Pはもうすぐ稜線に出るとのこと。本沢川Pとは連絡が取れなかった。結局我々の遡行終了は13:20で思ったより時間がかかった。
登山道を日出ヶ岳を超えて大台ケ原の駐車場へと急ぐ。14:00過ぎに大台ケ原に到着し、すべての行動を終了した。15:00の交信で本沢川Pと連絡が取れ、今こちらに向かっているとのこと。明日に仕事を控えた西さん、大塚さんは先に15:15発のバスで帰ってもらい、残りは本沢川Pと合流し、16:15のバスで帰宅の途に付いた。(記:増田)

<コースタイム>
5月3日:入渓点(8:30)〜八町滝下(15:30)〜八町滝上の泊場(16:30)
5月4日:泊場(9:00)〜大滝上(10:30〜11:45)〜稜線(12:30)〜堂倉谷出合(13:20)
5月5日:堂倉谷出合(9:00)〜ミネコシ谷出合(9:30)〜稜線(13:20)〜大台ケ原(14:10)

<1/25,000地形図>
大杉渓谷、大台ケ原山

<諸経費>
ジャンボタクシー(三交海山〜入渓点):5000円
バス(大台ケ原〜大和上市):2000円

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