八幡平・小和瀬川中ノ又沢スズノマタ沢


2006/06/20 八幡平:小和瀬川中ノ又沢スズノマタ沢

2006年6月20日〜6月22日
大塚
三年連続の6月の八幡平。一昨年は葛根田川、昨年は大深沢を遡行したので今年は小和瀬川。中ノ又沢のスズノマタ沢を遡行して、葛根田川の中ノ又沢を下降、戸繋沢へと継続する計画であったが、天候が今一つだった為、スズノマタ沢一本のみの遡行となった。

6/20(曇り時々雨)
田沢湖駅前で夜行バスを降りると、今にも雨が降り出しそうな暗雲が空全体を覆っていた。閑散とした田沢湖駅前は何だか寂しい。平日の三連休、せっかくの休みだからと単独の山行を計画してみたものの、仕事、その他モロモロの疲れもあり、出発前から今一つ乗り気になれないでいた。その上にこの天気、「行く気がしないのに行ってどうする?」「疲れが溜まっていて体が重い」「つべこべ言わず山に行くべし」「行けば何かを感じるだろう」・・・行く理由も中止にする理由も思いつかないまま、バスの発車時刻に背中を押されて玉川温泉行きの路線バスに乗り込んだ。
「男神橋前」で下車する。宝仙湖に人影は無くとても静かだった。男神橋を渡り左岸の林道を歩く。小雨がパラパラ降り出してきたので再び逡巡するが、本降りになりそうな気配はない。どうやら行くしかないようだ。
小和瀬川の林道歩きは長い。発電所を過ぎ、本流沿いの林道から分岐して中ノ又川の林道を進み、地形図上の終点からさらに2km程先のタツノクチ沢出合付近まで林道は伸びている。終点から沢に降りようと考えていたが、右岸に踏み跡が続いているのでこれを辿る。この山道は刈り払いがされた良い道で、途中からは導水管の上を行くようになり取水堰堤まで一気に距離をかせぐ。男神橋からここまで3時間半、中ノ又川の流程の三分の二を林道と山道で歩いてしまったので何だが面白みに欠ける気もするが、昨年の大深沢の軌道跡歩きに較べれば楽が出来たので良しとした。

一歩水流に足を踏み入れると入山前のモヤモヤした気持ちは消えていた。自然の只中に身を置く自分がいる。ただそれだけ。穏やかな流れを無心に遡り、今宵の酒の肴の調達に夢中になっている自分の心は驚く程開放されていた。
この日は明通沢を分けしばらく進んだ右岸の台地に幕を張り、一人焚火の夜を楽しんだ。

6/21(雨のち曇り)
昨夜遅くに再び降り出した弱い雨は朝まで降り続いていた。この時点で葛根田川への継続は止めにして、二日目は大白森の避難小屋に泊る事に決めた。のんびり半日行程である。撤収してしばらく遡ると雨が止んだので、しばし渓の妖精と遊ぶ。贅沢な時間潰しだ。
中ノ又沢はナメとナメ滝の優しい渓だった。スズノマタ沢に入ってからも時折優美なナメ滝が現れ、サワグルミやブナの森も美しく、遡行に飽きる事は無かった。最後は雪渓に埋まっていたがその通過に困難は無く、曲崎山と大沢森の鞍部にツメ上がった。

大沢森を越え緩やかな下り坂を下った辺りでタケノコ採りの男性に出会った。彼の大きな籠にはネガマリダケがぎっしり詰まっていて、少なく見積もっても40kg位はありそうだった。話をしてみると人なつっこい人で、食べかけのおにぎりを「食べろ食べろ」と勧めてくる。キツイ東北訛りでなかなか会話が成り立たないのだが、彼が私に好意を抱いてくれているのは充分伝わってきたので、食べかけのおにぎりと飲みかけのお茶をありがたくいただき、彼と一緒に昼食タイムを楽しんだ。彼はしきりに「日本も捨てたもんじゃない」「日本も捨てたもんじゃない」と言っていたが、日本のどこが捨てたもんじゃないと言いたかったのだろう。自然豊かな彼の故郷の山を、東京者の私に自慢したかったのだろうか。

大白森の小屋には昼過ぎには着いた。数年前に立て替えられたらしく奇麗な小屋だった。小屋に着いてしまえばもう何もやる事がない。この日は小屋の周辺でブナの森や空を眺めて過ごした。
二晩目の一人の夜に、ふと寂しくなって開いた小屋帳に、昨年3月にテレマークスキーでここを訪れた関さんのイラストを見つけて楽しい気分になった。

6/21(曇り)
三日目は大白森の湿原を散策してからのんびりと登山道を辿り、昼過ぎには乳頭温泉に下山した。時間があるので散歩がてら一番奥にある孫六湯と黒湯に入りに行った。孫六湯はこじんまりとした作りの二つの露天風呂が良かった。他に誰も入りにくる人はおらず貸し切りだった。
黒湯のお湯は白濁していて孫六湯よりも硫黄臭が強い。茅葺き屋根の湯治棟がひなびた風情をかもしだしていていつか泊ってみたいと思った。風呂上りに庭先のベンチに座り、黒湯の黒たまご(温泉たまご)をつまみにビールで乾杯し、この山旅を締めくくった。
まさに、癒しの山旅であった。(記:大塚)

<コースタイム>
6/20 男神橋(9:30)〜林道終点(11:50)〜取水堰堤(13:00)〜スズノマタ沢出合(14:05)〜幕場(14:15)
6/21 幕場(7:15)〜登山道(10:50)〜大白森避難小屋(12:40)
6/22 大白森避難小屋(9:15)〜乳頭温泉(12:35)

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