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2006/08/12 朝日:三面川岩井又沢中俣沢 |
8月12日(土)曇りのち雷雨のち晴れ
前夜ムーンライト越後で集合し、1時頃まで飲んで4時過ぎに新潟で白新線に乗り換え村上に向かう。非常に眠い。
村上駅から予約してあったタクシーに乗り、奥三面ダムに向かう。
奥三面ダムの駐車場で準備をしていると男女2名ずつの4人パーティーがやって来て先に出発していった。我々と同じ岩井又中俣に入るそうだ。後で知ったことだが、この4人はさがみ山友会のパーティーで、この先彼らと後先になりながら遡行することになる。
餌とするイナゴを取りながら、暑い暑い林道を進む。時々見える三面川本流は前回来たときよりもかなり水量が少なそうだ。出発したときには天気が良かったのだが、次第に雲が出てきて、遠くで雷鳴がし始めた。
明瞭な踏跡から本流に降り、少し下って岩井又沢に入る。この頃には空はすっかり曇に覆われて今にも降り出しそう。しばらく行くと案の定ぽつぽつと来始めた、と思ったら「ザー」という本降りになったので、小さな高台を選んでしばしの様子見となる。
雨宿り中に水は濁り、水位は若干増えたが、雨が止んできたのでいつまでもここにこうしているわけにも行くまいと腰を上げる。濁って増水した沢は渡渉に苦労し、思ったように歩がはかどらない。4mの滝(F1)下では渡渉にザイルを要するほど。岩井又の下流部は随所に瀞・渕のある渓相であるため、ひとたび増水すれば突破系の厳しい沢となる。途中から天気は回復したので、夏の日差しを浴びて全身ずぶ濡れになりながらの楽しい遡行となった。
結局、予定のウデコエ沢には届かず、オクゾウ沢の出合下で初日の荷を降ろした。夜は尺岩魚の刺身に舌鼓を打ち、あらも炒めて美味しく頂く。初日の食当は佐藤さんで、メニューは定番の豚汁とマーボ春雨。満天の星空の下、焚き火の傍で寝たら蚊に刺されて顔がぼこぼこになってしまった。
8月13日(日)晴れ一時雨
昨日とは打って変わってすっかり水の引いた中流部を快調に進んで行く。ウデコエ沢を過ぎ、沢が左に屈曲するあたりから両岸が岩盤となる。しばらく行くとさがみ山友会のパーティーに追いついた。ここから先、同パーティーとは後になったり先になったりしながら進むこととなった。
小上戸沢、中上戸沢が右岸から、川前裏沢が左岸から滝で合わさる。このあたりは両岸とも岩盤を基調とした渓相だ。大上戸沢を過ぎると巨岩のゴーロとなり、やがてそれが普通のゴーロとなって畑沢まで続いている。
今日もにわか雨が来そうなので、中俣に入るかどうか迷うところだが、畑沢出合の少し下でいきなり降り出した。雨宿りして様子を見ていたところ、雨はすぐに収まり、昨日とは違って増水もしなかった。しかし、やはりこのまま中俣に突入することには一抹の不安が残り、またいいテン場がないとの情報なので、畑沢出合下流の薪豊富な場所を本日の幕場とした。
この日は途中の滝壺で3匹、テン場周辺で4匹の岩魚をゲットし、刺身、なめろうにしたほか、長南シェフが岩魚のあんかけを振舞ってくれた。この夜も満天の星空であったが、焚き火が盛大になりすぎて傍にいることができず、タープの下に入って寝た。
8月14日(月)晴れ
今日が正念場なので早起きして「6:00出発」を宣言したのだが、実際には6:50になってしまった。この山行中、どういうわけか毎日出発予定時間の40〜50分遅れの出発となった。
中俣に入ってしばらくはゴーロだが、すぐにゴルジュとなって渕が連続する。最初の泳ぎの渕では長南さん佐藤さんは自力で泳ぎ切ったが、私は長南さんにお助け紐で引っ張ってもらった。ここからは泳いだり、空身で登って荷揚げしたりと狭いゴルジュの中での奮闘がしばらく続く。
西俣沢は多段30mの滝で出会っており、対岸は少々の増水には耐えられそうな割りと立派な川原になっていた。沢が右に屈曲するところでもやが立ち込めており、屈曲の先に雪渓があることを表していた。先行していたさがみ山友会パーティーが水が冷たいと引き返してきて左岸を登ったので我々も後に続いた。左岸の岩の上に打ち付けられていた残置ボルトを支点にして5mの懸垂でシュルントに挟まっている岩の上に立ち、雪渓に乗り移って、4mほどの厚さの部分をアイスハンマーを刺して登り、雪渓の上に立った。
雪渓はガッコ沢の出合まで続いており、雪渓の切れる手前で右岸の泥壁に飛び移った。本流はその先両手を広げれば届くほどに狭まっており、奥に15mほどの高さのCS滝があり登れない。ここは一旦ガッコ沢に入り、ガッコ沢から本流右岸を高巻くのが常套手段のようだ。ガッコ沢は3段の滝で合わさっていて登れないため、飛び移った右岸の壁を高巻いてガッコ沢に降りた。しばし休憩の後高巻きに入る。本流とガッコ沢の間の小尾根を少し登り、適当なところからトラバースし、最後は15mの懸垂で本流に降り立った。
次の3m、4m滝も登れないため右岸から高巻き、沢が曲がった先のルンゼの正面辺りから30mの懸垂で本流に降りる。5m、4mの2段の斜瀑、10mの滝を越え、その上の12mの滝は再び右岸から高巻く。
ゴルジュの中の小滝が続いた後、2段17mの滝は左右どちらからでも巻けそうであったが、右から巻いた。ナメ状の斜瀑や小滝を越え、二俣を過ぎ、トイ状の3段滝(10m、10m、8m)を越えるとゴーロになり、テン場を探しながら歩く。余りいいテン場はなかったが、沢の両岸に少しずつの川原を見つけ、左岸を寝場所、右岸を焚き火場所にして落ち着くことになった。
この夜も満天の星空の下、昨日とは違って制御された「大人の焚き火」ってやつを満喫した。さすがにこの日は岩魚はなかったので、私の持ってきためざしで我慢してもらい、ビーフン、野菜の煮物とカレーで最後の晩餐となった。
8月15日(火)晴れのち曇り
7:00予定の7:45発。テン場のすぐ上に右岸から支流が滝で合わさり、その上の渕は右の壁を微妙なへつりで越える。そのすぐ上で東俣沢を分ける。ここは左に入って、すぐ次を右に入る。さがみ山友会のパーティーは我々のすぐ後ろに迫っていたが、ここからは東俣の方に入ったものと思われる。
ここから先は小滝や登れる滝が連続し、順調に高度を稼ぐ。最後は笹薮と潅木、草原の後登山道に出た。後は登山道を竜門山経由で日暮沢小屋まで下った。
この日、10:00の交信は源頭部で、12:00は竜門山近くで、14:00は清太岩山から少し下った所で、16:00は日暮沢小屋で行ったが、一度も通じなかった。八久和パーティーがどうなったか気にかかったが、佐藤さんは「にわか雨による増水で大塚Pは一日遅れ、西Pと行動を供にしている。」と読んでこれが結果的にぴたり当たっていた。
全体を通して
岩井又沢中俣沢はゴルジュの中の泳ぎ、へつり、高まきといずれもハイレベルで手応えのある沢であった。予想に反して雪渓が少なかったが、雪渓の状態によっては、さらに厳しいものとなる可能性もある。また、上流部は快適に登れる滝が連続し、これも楽しかった。
初日、二日目とにわか雨にはあったものの全体的には4日間好天に恵まれ、夜は毎日焚き火ができ、恵まれた山行であった。岩魚は当会きっての二人の釣師のおかげで合計10匹で、これにも大満足。
【反省】
・ 計画段階で困ったのは、中俣に入ってからの雪渓の状況によって、どのくらいの時間がかかるものか、二日目の泊場をどこにすべきかが事前に読めなかった点にある。結果的に前回同ルートを豪雨による増水で畑沢にエスケープした経験のある二人のアドバイスに従って、畑沢出合付近で泊まり、翌日一日で核心部を抜け切って上流部に泊るというのは正解だった。
・ 個人的には体作りはできていたつもりであったが、荷物の重さに少々ばててしまった。考えてみれば合宿前1ヶ月ほどはまともな泊まりの山行はなく、やはり直前に泊まりの荷物を経験しておく必要を感じた。
・ 疲れにより二人の後を追いかけることが多くなった結果、ルート選定やリードを殆ど二人にお任せする形になってしまい、少々情けないリーダーであった。
<コースタイム>
8月12日(土) 車止め(8:00)〜入渓点(9:00)〜ワリ沢下流で雨宿り(10:10〜11:00)〜オクゾウ沢出合〔泊場〕(15:50)
8月13日(日) 泊場(7:40)〜川前裏沢出合(11:10〜11:50)〜畑沢出合下流〔泊場〕(16:00)
8月14日(月) 泊場(6:50)〜西俣沢(8:00)〜ガッコ沢(9:30)〜ガッコ沢出合上流(11:30)〜標高1000m付近〔泊場〕(16:40)
8月15日(火) 泊場(7:45)〜稜線(11:45)〜竜門山(12:00〜12:40)〜清太岩山(13:40)〜日暮沢小屋(15:50)
<1/25,000地形図>
徳網、相模山、朝日岳
<その他>
タクシー代 村上〜奥三面ダム終点:11,510円、日暮沢小屋〜水沢温泉:8,210円、水沢温泉〜羽前高松:4,130円