【8月14日(月)】
昨日天狗小屋の管理人さんから聞いた「呂滝までに雪渓がある(?)」という怪情報からリーダー西、大塚両氏は早朝出発を決断。岩屋沢出合下のやぶ蚊だらけのテン場を大塚パーティと一緒に6時に出発。
オツボ沢出合は左岸を、小鱒滝のゴルジュは右岸を、どちらも簡単に巻ける。小鱒滝上の左岸に砂地の気持ち良さそうなテン場あり。この後、プールでひと泳ぎする。
素晴らしいテン場になるだろう広~い川原を過ぎると大きな釜をもつ呂滝だ。ここまで雪渓は無い・・・。呂滝は地形図の滝マークより1cmくらい下流に位置している。右岸を巻いてルンゼを下りる。
左岸から入る沢の出合から見えるエズラ峰、湯沢の出合にかかるスラブ滝と美しい眺めが続く。
連爆帯は左岸から低目に巻ける。この後、開放的な広い川幅、美しい稜線とスラブが続き本日一番の見所だ。
10:30には目標のテン場に到着。西さんと大塚さんが上流を偵察した結果、我々パーティは大塚パーティとは別れて少し上流の左岸1228mから落ちる沢の出合右岸の小さな砂地に幕を張った。のんびりと薪を集めて渋い焚火の後、明日の早出に備えて早めに宴を終えた。(記:松之舎)
第3日目
今日は今回の山行の核心となる日である。朝6時前には遡行準備を完了して大塚パーティーを待つ。総勢6名、気合十分で出発。すぐ、西俣沢出合。水量は若干西俣沢の方が多めに感じた。貧相な東俣沢(1:6程度)を分けて少しすると、雪渓が現れる。以後、本流沿いに8~9個の雪渓を処理する事になる。雪渓の処理には、①上を歩く。②下をくぐる。③巻いてトラバースと三方法があるが、どの方法を選択するか?雪渓の規模、滝の有無、高さ、気温、両岸の状態、出口の様子などいろいろな事を考慮しなければならないので本当に難しい。最終判断はリーダーがするとしても、それまでメンバー全員でいろいろ考えることが大切だと感じた。経験豊富なリーダーは大体同じ様な判断をすると思うが、微妙に視点が異なっている事も多いいからである。今回の山行で一番難しかったのは、S字峡手前の雪渓だったと思う。比較的しっかりしていて(距離30m程度)、出口が滝になっており、先行者が出口付近で荷揚げ作業を繰り返していた。偵察に行ってみると、どうやら上った先の滝の降り口がヤラシイみたいで、雪渓に上り返して右岸からトラバースしていった。我々は左岸側から雪渓を横断し、やはり右岸方面から雪渓を渡った。この右岸側は、最後の2~3メートルが非常に薄く非常に肝が冷えた。果たして、この判断は適切であったであろうか?他にルートがあるとしたならば、左岸の滝の落ち口のトラバースと、同じく左岸の高巻き懸垂下降が考えられた。メンバー6名の技量を考えると、完全な正解を考えるのはとても難しい。何故、右岸ルートを取ったか?というと、先行者があの薄い雪渓を渡れたからという理由が大きいと思う。他のメンバーの方々に率直な意見を聞いてみたいと思う。なお、この雪渓処理終了後、なんでもないところでスリップを起こして2~3mすり落ちた。山では緊張感か切れたときが最も危険である。反省。
S字峡~連ばく帯~登山道までは体力的にとても疲れた。ガスが濃く、景色が楽しめなかったのは残念である。最後は本流に雪渓があったので、奥右俣をつめて登山道にでた。狐穴小屋に着いたときは心からほっとした。
第4日目
この日は登山道で下山するだけ。とはいえ、寒河江山~竜門小屋~日暮沢小屋はアップダウンがとても多く、疲れた。しかし、他の5名は大変元気で、右足爪が死んで3日目の自分は何とかついて行くのに精一杯であった。
全体の感想
10年ぶりの八久和川であり、充実の4日間でしたが、雪渓により水流が泥水の流れで渓谷美を堪能できなかったのが残念でした。久しぶりに朝日に行くと、日頃、いかに簡単な山行ばかりしているかが思い知らされます。(記:西)
<コースタイム>
14日 岩屋沢出合下テン場発(6:00)~オツボ沢出合(7:00)~小鱒滝(8:00)~広川原(8:35)~呂滝(9:10)~湯沢出合(9:35)~1番目テン場(10:30)~2番目テン場(12:00)
15日 西俣沢手前右岸幕場(6:00)~大滝上(8:30)~S字峡上(13:50、巻き所要時間1時間20分)~登山道(17:15)~狐穴小屋(17:40)
16日 狐穴小屋(8:00)~日暮沢小屋(13:50)