![]() |
2006/09/30 奥利根:小穂口沢本沢 |
夏合宿が終ってから10月上旬にかけては行きたい沢だらけで週末の数が足りない。朝日、奥利根、越後・・・ 自分にとって「本命の沢」に入れるこの季節は仕事そっちのけで計画を組む。
この週は運良く平日絡みの二泊三日で行けるメンバーが三人揃ったので、昨年二度計画しながらも悪天で行けなかった小穂口沢本沢に行く事に決めた。夏合宿と同じメンツなのでやりやすいが、パーティー全体の力量を考えると小穂口沢本沢は遡行レベル的にはギリギリ上限か。メンバーに気合いを入れるように伝達していざ出発。
9月30日/晴れ
ボートをチャーターして奥利根湖を渡る。昨年、一昨年と山越えで苦労して訪れた利根川源流域も矢木沢ダムからボートに乗れば僅か20分。今年の夏は雨が少なかったようでダムの水位が低く、バックウォーターは小穂口沢出合の僅か手前だった。ボートが帰ってしまうと退路を断たれる訳だが、この日はそんな悲壮感を微塵も感じさせない秋晴れの穏やかな陽気だ。
初日は北沢出合先までなので時間的には余裕の行程だ。一昨年、南沢を下降した事を思い出しながら下流部の河原をのんびりと遡行し、南沢との二俣の魚止滝に着く。左岸から高巻き沢に戻るといよいよここからが未知の遡行。しばらくゴーロを行くと北沢出合のだいぶ手前から雪渓が現れる。乗り口は低いので小さな雪渓に見えたが、雪渓上に登るとどこまでも続いていてかなり長い。この雪渓は北沢出合先の滝場まで続いており、その長さは有に500mは越えている。盛夏は北沢出合に雪渓が残る事は知っていたが、この時期にこれだけ残っているのにはちょっとびっくり。雪渓終端から沢床へは降りられず右岸のブッシュ帯に上がり高巻くが、追い上げられて大高巻きになる。小尾根を乗越すと傾斜が緩みブッシュを繋いでクライムダウンし、ちょうど幕場予定地の河原に降りた。
幕場は大滝を眺められる抜群のロケーション。早い時間から焚火をしてゆっくりと過ごした。
10月1日/曇り、夕方から雨
朝目覚めると曇り空。どうやら予報通り天気は下り坂のようである。大滝を眺めながら幕場先のブロックの合間を進んでゆくと大滝手前の30m滝になる。これは左岸から高巻き、続く小滝群を登るといよいよ大滝が目の前に現れる。近くで見ると傾斜が緩く威圧感は全く無い。一段目は左壁が登れそうだが左側のブッシュを繋いで巻きぎみに登る。二段目は傾斜が緩く念のためロープを出す程度。三段目も似たような感じ。四段目はやや傾斜が増すがⅢ級程度。五段目は水流右に移り10m程だがこれも易しい。5ピッチの大滝登攀と言うには大げさな気もするが、眺めが良くて気持ち良い登攀だった。
大滝を越えると沢幅は狭まり源流の趣きとなる。悪いと言われている20m滝は右のもろいリッジ状の岩を登って高巻く。この滝を越えると沢は再び開けるが樹林が後退して両岸急傾斜の草付V字谷になる。100m程の雪渓になり上を歩いて行くと雪渓終端からは沢に降りられず、後退した潅木帯まで20m程の泥壁登りを余儀なくされる。下15mは全く草も生えていない泥壁、上5mはヒョロヒョロの草付。空身にアイスハンマー2本のダブルアックスで切り抜けたが、ノープロテクションでのリードはヒヤヒヤものだった。これがこの山行の核心。
標高1450mの二俣から先はさらに樹林は後退し、草付V字谷の中に悪そうな雪渓が続いているので、ここから小穂口ノ頭を目指して左の支流に入る。この沢は傾斜はきついが小滝とゴーロのみでエスケープには最適。最後は草原状となり小穂口ノ頭にツメ上った。
稜線の草地に幕営。
10月2日/雨のち曇り
朝から暴風雨。必死の撤収の後、中尾ツルネを下山した。(記:大塚)
〔感想〕
念願の小穂口沢本沢を遡行出来て満足。平日を休んで付き合ってくれた仲間に感謝。大滝の登攀はそれ程難しくないが、幕場から見た美しさは印象的でやはり大滝はこの沢の華だと思う。今考えると一段目もきちんと登っておいた方が良かったかな。
<コースタイム>
9/30 小穂口沢出合(9:00)~南沢出合(12:30)~北沢出合先河原(14:30)
10/1 幕場(6:50)~大滝下(8:35~8:50)~大滝上(11:10~11:50)~1450m二俣(15:10~15:30)~稜線(17:10)
10/2 幕場(8:40)~十字峡(12:05)