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2006/10/10 奥利根:楢俣川前深沢 |
10月9日/晴れ
夜勤明けの単独山行は山へのモチベーションを維持するのが大変だ。同行者がいないと気安く中止に出来るので眠たさに負けてしまいそうになる。
連休中は荒れた天気だったが東北組はどうしただろう。皆が下山する頃合を見計らって高気圧が張り出してきたところを見ると、どうやらお天気の神様は俺の方に見方したようだ。この快晴じゃ中止にする言い訳は見当たらないなぁ・・・ そんな事を眠たい頭で考えながら一人電車に乗り込んだ。
水上からバスに乗り湯ノ小屋に着いたのは13時過ぎ。楢俣林道を歩いて狩小屋沢の下降点の手前で幕とする。土日はこちらもかなり雨が降ったようで林道から見下ろす楢俣本流は増水している。明日の朝までに減水するか少し心配。
一人の焚火は寂しい。その寂しさを感じるために一人で山に行くのもたまには良いのだけれどね。
10月10日/晴れ
寒い。5時に起きたが行動する気になれずツエルトの中でグズグズして6時40分出発。楢俣本流はまだ減水しておらず水量が多くてこの時期に朝から腰まで水に浸かるのは辛い。三度目の楢俣川だがやはり下流部の美しさには魅せられる。水量が多いので幅広滝やナメ滝群もより一層見栄えがしてとても美しい。この時期は釣り師もいないので快適だ。
見覚えのある出合から前深沢に入る。下流部はゴーロの中にたまに滝がかかる程度で平凡。まだ陽も射してこないので足早に進む。左岸から小さな支流を入れると15mの滝になる。直登も可能だか思いっきりシャワーを浴びるので左岸から高巻く。この15mの滝を越えると小滝やナメが続くようになり渓相が整ってくる。特に困難さは無いがこの沢は遡るにつれて明るい渓相になり滝も美しいものが多い。標高が上がると紅葉も進んでくるのでなかなか良い感じだ。
2段20mの滝と美しいナメ地帯を過ぎると大滝になる。楢俣川最大のこの滝の落差は50mと言われているそうだが実際は40m位かな。右壁にそそられる。ややのっぺりしているが堅い岩で快適そうだ。上部は行ってみないと分からない感じだがたぶん登れそう。しかし単独のフリーソロはさすがにヤバイので左岸のブッシュ混じりの草付から高巻く。少し心残り。
大滝を越えるとさらに渓相は明るくなり、行く手には至仏山が見えるようになる。源流部はゴーロの中に小滝がかかるだけとなるが、森林限界上の流れはひたすら明るく、秋の高い青空と岩、ハイマツの緑と草紅葉のコントラストが素晴らしい。振り返って見下ろす景色も良い。最後はガレ場になるがジャスト至仏山を目指してツメ上がった。
あとは鳩待峠に下山するだけなので山頂からの景色を堪能する。ハイカーは尾瀬ヶ原や燧ケ岳ばかり眺めているが、私が眺めるのは尾瀬とは反対側の利根川源流域の山と谷。ずらっと並んだ上越国境の山々を同定しながら、群を抜いて雪渓が多い越後沢を見つめる。大滝は遠くて肉眼でははっきり見えなかったが、「いつかは・・・」の想いを胸の奥に刻み鳩待峠へ下山した。(記:大塚)
<コースタイム>
10月9日 湯ノ小屋登山口(13:35)〜林道ゲート(14:15)〜狩小屋沢下降点(16:05)
10月10日 狩小屋沢下降点(6:40)〜前深沢出合(7:40)〜15m滝上(8:50〜9:10休憩)〜大滝上(10:50〜11:10休憩)〜至仏山(13:20〜14:10休憩)〜鳩待峠(15:30)