白い猿

 岩手県花巻温泉峡、豊沢川上流右岸にあるひなびた感じの鉛温泉に「白猿の湯」という風呂がある。階段を下りた地階にあるが、天井が高く開放的で明るい。深さが1.25mもある、立って入る珍しい温泉だ。名前の由来は、約600年前に1匹の白猿がこのお湯に入っていたからというものだ。

 
 鉛温泉から南に和賀川を挟んで約30kmのところに夏油温泉がある。ここにも「白猿の湯」という名の内風呂が。現地の看板で読んだことがあるが、確か名前の由来は鉛温泉と同じようなものだった。
 
 白い動物といえば、数年前に白い猪が捕獲されて話題になった。映画「もののけ姫」にも白い猪が出てくる。これらの白い動物はアルビノという先天性色素欠乏症(人間にもあるらしい)だという。ただ、日本では白い動物というと神聖なものか、逆に凶兆として恐れられる。先述の捕獲された猪も確か猪鍋になるのは免れたはずだし、「もののけ姫」の白い猪も乙事主(おつことぬし)という山の主のボスだ。古事記の中にもヤマトタケルノミコトが伊吹山で「山の神」である白い猪に会った記述があるという。
 
 わたしは白い猿にも白い猪にもお目にかかったことは無いが、昔々の鉛温泉に入っていた白猿と夏油温泉の白猿が同じ猿だったら面白いだろうなぁとか思ってしまうし、白猿と同じように山々を歩き回った後、久しぶりに夏油の湯にどっぷりつかってみたくなっている。     (まつ)

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