那須・大蛇尾川西俣〜東俣下降

2007年6月23日〜24日
L長南、松之舎、小南

2007/06/23 那須:大蛇川西俣〜東俣下降

 前夜、塩原の道の駅にて仮眠。しかしここは車の音がうるさい。もう少し現地近くの県道30号線のパーキングの方が静かなようだ。
 

最終集落の湯宮まではすぐで集落はずれから植林帯の林道を上っていく。林道はかなり荒れていて車で入れる(崩れて車道が埋まっている)ところまでは普通車ではかなり厳しい。車止めには3台くらい駐車可能。車底を擦りながらなんとか行き着くと後部左のタイヤがパンクしていた。やれやれ出発前からトラブルである。ジャッキアップしてスペアタイアに替えてから出発する。
 しばらく林道を行くが取水口の巡視路でもあるので簡易橋やら階段やら設置されていて歩きやすい。取水口の吊り橋を渡って川原に降りて入渓準備をするが昨日まで降っていたのか水量が多い。
 大蛇尾川はそれなりに山深くもあり樹々も美しく水も青く美しい。百名谷だけのことはある秀渓だ。青空の下、西俣との二俣までは川原と徒渉を繰り返す。
 二俣を過ぎると滝場が出てくる。8mと4mの2段滝だ。8mは右の張り出した岩角を登る。4mは左から巻きたいが落口上の水流は勢いよく持っていかれそうなので、松ちゃんにお助け紐を引いて渡ってもらい対岸の残置シュリンゲを使って滝下左にでてそこから巻く。この先はナメと青から青緑色の釜が続き美しいところだ。沢が左に曲がるところに8m滝がかかる。両岸かなり手前から壁で、巻くとなればかなりの大高巻きになりそうだが直登できそうにはみえない。どん詰まりのルンゼから巻けるか見に行くが流れが強くよくみえない。対岸に渡ってみると錆びて曲がった残置があった。しかしここからの直登はちょっと手に負えそうにない。もう一度左岸にもどって見渡してみるとどうやら見ていたより右にルートを求められそうだが、半分くらいは水流の中だ。やはり水量が多いのか。様子見にロープを引いて取りついてみる。左のホールドはしっかりしているが右がやはり濡れて重心を乗せにくい。そろそろ支点が欲しいとリスを探すと残置があったので使わせてもらう。濡れたホールドを嫌ってどうしても左に寄りがちになるが、下から見たところ左は最後で詰まりそうなので水流の中にもホールドを求め右に寄るように登る。そろそろ支点を打たねば、とホールドの影を覗くとまたまた残置があった。この先人とは感覚が合うようで安心する。落口はホールドが見えず磨かれているがこの感覚なら大丈夫だろうと踏んでそのまま登りきる。小南ちゃんを確保し荷揚げして松ちゃんに最後に登ってきてもらう。乾いていればホールドもしっかりしているので難しくはないのだろうが久しぶりに喉が渇いた。
 大きな釜を持った6m滝を左から巻くと沢は平凡な流れになる。平凡といっても流れる水は美しく淀めば奇麗な色合いになる。屈曲部もすぎ鹿又沢が近くなりもう何もでないだろうと思っていたが、松ちゃん情報によればまだ大滝があるらしい。地形図を睨むがそれらしい地形はないが、はたしてかなりの迫力を持った大滝が現れた。この沢は下降もそうだったが滝場が地形図では読み難い。
 高巻きのルートを左岸に見に行きたいが水量が多く渡れない。右岸も回り込んで直登か巻きのルートを偵察に行きたいが水が被っていてヘツれない。少し戻り右岸の壁から様子見に松ちゃんにロープを引いて登ってもらう。潅木に消えてしばらくしてホイッスルが鳴る。小南ちゃん、私と続けば下から回り込んだ一段上あたりで右岸が見渡せる。交代してそのままロープを引いて登る。壁が立ってきたところで支点を打ち込み落口へのルートを求め滝の方へトラバースするがルートはない。行き詰まったか、と見渡すと少し先にシュリンゲが垂れている。少々不安定だが左手でシュリンゲをとって右手でとったホールドが剥がれ身体ごとはがされそうになりヒヤリとする。下の2人に落石を告げ剥がれた岩を落とすが吸い込まれるように2人のほうへ落ちていき小南ちゃんを直撃してしまった。大事には至らなかったが痣と内出血してしまったようだ。
 潅木帯まで登り後続を確保する。小南ちゃんが同じところで落石を下の松ちゃんに告げる。これも下で余裕をこいてタバコをふかしている松ちゃんのほうに吸い込まれるように落ちていき当たってしまう。笑い事ではないがなんだかそのマンガ的な成り行きに笑ってしまった。
最後は落口までのトラバースだが、様子がわからないので松ちゃんにそのままロープを引いて行ってもらうが一向に合図がかからない。どうやら落口上はナメで水量が多く幅いっぱいに流れていて滑ったらそのまま大滝へ、という状況だったらしい。そういった状況でなぜかナメの真ん中に出てしまいセミになっていたようだ。ここはロープにお助け紐を足して右岸をヘツりながら支点の取れるところでロープをフィックス。小南ちゃんはヌンチャクをロープにかけてごぼうで通過。一度、松ちゃんに別のお助け紐を持って戻ってきてもらって先ほどの場所まで荷物を取りに戻り、回収しながら最後は松ちゃんを確保して無事通過。この大滝の3ピッチで3時間近くかかってしまった。
 大滝を通過するとあとは日没との競争である。幸い昨日は夏至。詰め上がる予定の沢の一本手前の左岸の沢との出合にテン場を決めたのが7時過ぎ。タープを張って焚き火がつき落ち着いた頃には暗くなっていた。

 翌日。詰め上がる沢までは20分程だった。滝で出合っていて意外と水量が多い(1:1)。400m強の登りだが100m程で水は涸れる。土砂が堆積しているからまた出てくるだろうと高を括っていたらそのまま笹藪になり水は再び出てこなかった。根曲がりでないのでそれほど苦労せず詰め上がるが最後の稜線近くの潅木帯はシャクナゲも混じり煩い。1872P北の鞍部の薮の海に詰め上がり、時間を短縮するため当初予定の東へ乗り越した沢を下らずに南に薮を漕ぎ一本下流の沢を下降することにする。
 この下降に使った沢は源頭は急な笹原でシリセードで下る。6m斜瀑、10mをクライムダウンもしくは巻き下り1時間強でこの沢は下降する。東俣に出てすぐに6m滝で落口から左岸をトラバース気味にクライムダウン。次のトイ状6mは落口右からトラバース気味に下るが行き詰まって懸垂下降。連瀑帯は上ふたつはクライムダウンするがそこまで。そこから右岸を巻き下る。地形図の印象とは違って結構滝が多い。今日も日没との競争になりそうである。できればパンクしたあの悪路は日のあるうちに通過したいのだが。
 渓相も穏やかになり、もう大きな滝はお終いかと思いきや20mの直瀑が現れる。落口左からトラバース気味にクライムダウン。この落口ぎりぎりからのルート取りは松ちゃんの得意技だ。無理そうに見えてもするすると下っていく。今回は途中で行き詰まったがお助け紐をかけて一段懸垂下降してクライムダウン。
 まだまだ終わらず、ナメの向こうで視界が急に開け豪快な直瀑が現れる。右から巻き下るが2段あり下段は右端を潅木頼りに下る。
 左岸1020mあたりで入ってくる大きな沢を確認できないまま、随分と長いなぁ、これは日没までにあがれないかもしれないと考えはじめたころに見覚えのある出合に出た。どうやら西俣との二俣のようだ。どこで見落としたのだろうか。3人とも確認できていなかったのでキツネに抓まれたようだ。

 あとは昨日通ったルートを戻るだけだが最後は雨になってしまった。
 車止めに18時半。途中、側溝に脱輪というおまけつきの山行だったが、東俣は登っても面白そうな沢なのでどこかと繋げてもいいかもしれない。(記:長南)

<コースタイム>
23日(晴) 車止645−745取水口820−950二俣1015−1215(8m)滝上1230−大滝上1810−鹿俣沢1830−1910(1400m付近)BP
24日(曇後雨) (BP)715−735(1430m付近)二俣−1005鞍部1015−1130東俣出合−1210(1300m付近)二俣1240−1600西俣出合−1725取水口1730−1830車止

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