前夜、男鹿高原にて仮眠。翌朝、山王峠を越え会津側へ入ると国道脇の温度計は−19℃の表示。寒い。
桧枝岐あたりの積雪は例年の半分程度。燧の湯の駐車場に車を停めさせてもらって舟岐川沿いの林道に入る。
大沢から1803Pを目指し、状況を見ながら沢筋にルートをとって進むと単独行のトレースに出合う。
逡巡することなくまっすぐに伸びているトレースは、このあたりに通い慣れた方のようだ。板も細く雪輪の跡も大きい。頑固そうな初老の山屋のイメージを勝手に作り上げる。
トレースはそのまま沢沿いを進んでいるが、我々は等高線が詰まるあたりで右岸の穏やかな尾根に上がる。尾根上は風の通り道で雪面の段差が煩わしい。地形図からの想像とは違い痩せ尾根にもなり、風の通り道なので当然、風下の北側は雪庇になる。このあたりは西高東低の冬型の気圧配置になると尾瀬方面から風が抜けてくるのか、雪雲が尾瀬の方から広がってきては雪を降らせ、しばらくすると雲が遠ざかり青空が垣間見られるようになる。そういった感じで北側斜面が風下になるのだろうか。普通なら煩わしいと思うこういった地形でも、楽しそうにトガちゃんはどんどん先を行く。
雪は低温で踏みしめても固まらないほどサラサラだ。たまに急斜面になるとシールが効かずズリズリと滑ってしまう。守屋さんのシール・トラブルもあり、1500mあたりの緩やかなあたりから滑ることにする。北側の沢筋から右岸ののっぺりとしたブナ林にルートをとったが、雪質もよく樹間も適当にあり快適な滑りを愉しめた。
下山後、燧の湯に入り開山で蕎麦を頂き、今日帰る守屋さんと別れ、残る3名でまた少し山に入りテントを張る。
翌日、日帰りをもう1本やって帰る予定だったが、諸々の理由により(というかいつもの如く)翌朝下山した。結果的にだが下山して正解であった。除雪の終了点に勢いよく滑り降りた時に板がバリッという音とともに折れてしまった(真二つではなく剥離してヒビが入った状態)。日帰りの、それも林道に出た所だったので幸運であった。(記:長南)
<コースタイム>
9日 曇り 燧の湯9:00−12:00(1500m付近)12:30−13:30燧の湯
<1/25,000地形図>
桧枝岐・帝釈山