朝日・三面川以東沢

2008年8月9日〜12日
L増田、望月、山本

2008/08/09 朝日:三面川以東沢

合宿直前の落雷事故で関さんが参加不能となり、望月君が代わりに入ってくれることとなった。当初計画は横山沢ムキ沢を登って源太沢を下るというものであったが、歩みがのろく、時間切れのため以東沢に変更した。

8月9日(土)晴れ
村上からタクシーで向かう予定だったが、朝日スーパーラインが工事で通行止めのため、今回は小国から入ることになった。タクシーから見下ろすと三面川の水量は少ない。運転手によれば最近では1週間ほど前に雨が降ったきりだという。タクシーを降りると早速アブの来襲に遭い、三面に来たということが実感される。身支度を終え出発したのは9時半前、空は薄く霞がかかっているが青空だ。
林道終点から三面小屋までは山道に沿って進み、2時間ほどで小屋に到着した。地形図で登山道が伸びているところまでこのペースでいければ、予定のスノバコ沢出合付近には余裕を持って到着できると思われた。ところが、三面小屋からは明瞭な道は消えて、ところどころ踏み跡らしきものも見つけたが、ほとんど藪漕ぎで進むこととなり、思わぬペースダンをすることになった。赤滝上のメダシ沢徒渉点で小休止した後、うっすらと残る踏み跡をたどって進んだが、やがてその踏み跡も見失い、しばらく藪を漕ぐと水のほとんど流れていない小さな沢の徒渉点に出た。これが岩盤の露出した傾斜のきつい沢で、対岸も草付きとなっているため、上り下りしてあちこち探ったが、通過できそうなポイントが見いだせない。踏み跡を探して少し標高を上げてもみたが、やはりだめだ。暑い中いきなり長時間の藪漕ぎで体力も消耗してきたので、これ以上踏み跡を探して藪を徘徊するよりは、本谷に降りてしまったほうが早いのではないかということになり、メダシ沢徒渉点まで引き返し、そこから沢を下って本谷に降りた。
そうして本谷に降りたところが、ゴルジュ帯を5分も進むと、見るからに突破困難な滝が現れた。滝自体は1m程度の落差しかないが、両岸が切り立ち、本谷の水が幅1mに圧縮されて流れ落ちている。最初に私がザイルを引きながら泳いで滝壺のすぐ左にとりついたてみたが、岩がツルツルで、岩の上まで体を持ち上げることができない。増田さんも右からのルートを探ったが、水流が強く、近づくことができない。結局ここを突破することができず、もと来たメダシ沢を登り返した。こうして、この日3度目の徒渉点に戻った時は、最初に着いた時から3時間経過した16時だった。ここからまた踏み跡をたどり、今度は見失わないように注意深く進み、ヒヨガラ小沢(と思われる沢)から再び本谷に降りたときには、17時近くになっていた。ヒヨガラ沢を越えた左岸にテン場適地を見つけ、この日はここで泊ることにした。
8月10日(日)晴れ
7時過ぎに出発。朝からアブがひどい。空にはうっすらと雲がかかっている。出発してすぐに長い淵となり、腰までつかりながら進む。ユウザ沢出合付近は少し開けて河原のようになっているが、そこから先はゴルジュ帯が続き、キスケ沢、牛ノ倉沢を分け、ヨシズノ沢あたりまでは淵が多く、泳ぎやヘツリの連続となる。朝から水につかってばかりだか、水がさほど冷たくなく、日光も谷底に射しこむようになって、さほど寒いと感じることもない。巨岩帯のようなところが少し出てきた後、再びゴルジュと淵が現れ、竹ノ沢との静かな出合に至る。
竹ノ沢を分けた後も、小滝を懸けた淵が連続し、所々ザイルやお助けひもを出しながら、たっぷり水につかりながら進んでいく。両岸に岩壁が迫っているので、水量が多ければもう少し厳しい部分もあったと思われるが、高巻きもなく楽しく進める。しかし、これほど水につかるものとは想像していなかったので、思いのほか距離は稼げない。滝沢が滝となって出合っているところで昼食とし、しばらく日光浴をして濡れた体を温める。
ここを出発すると直ぐに流れが幅1.5mほどに圧縮されたゴルジュが現れ、その後はしばらく河原のようなところが続き、やがてナタクラ滝に出る。後で記録を読むと、右岸に巻き道が付いていて簡単に巻けるということがわかったが、われわれは左岸に入っているガレ沢の脇の藪を伝って高巻いた。
風倉沢を越えてしばらくすると2mほどの滝がかかっており、滝壁に取り付けそうにないので右岸から高巻くことにする。右岸は岩盤の斜面となっており、その一番上から一段切り立った岩場を登ると藪の斜面につながっている。最初に一人ザイルを引いて空身で登り荷上げをするということにして、増田さんが登り始めた。藪に入ったところですぐに荷上げをするのかと思って待っていたら、増田さんは藪の中に消え、ザイルは引かれ続け、2本目のザイルの末端ぎりぎりまで延びた状態になった。増田さんは足場を確保できるところまで登ったが、藪が濃くてとても荷上げはできないから、ザックを背負って登ってこさせようと思い、ザイルを引いていたようだった。しかし、下で待っていた私は荷上げをするのだと思い込んでいたので、ザックをザイルの中間点に付けて上げなければザイルを下に戻せなくなると考えて、ザイルを半分引き戻そうとした。増田さんと私で、やろうとしていることをお互い大声で叫んでいたが、滝の音と藪に阻まれてよく聞こえず、しばらく綱引き状態となってしまった。最終的には増田さんの指示が聞こえて、山本さんから登り始めたが、この間のやり取りで思わぬ時間をロスしてしまった。
この高巻きを終了したところで17時を過ぎており、そろそろみな疲れてくる。18時も回ったころ、数衛門沢の先のゴルジュ帯でもう一度高巻きをすることになり、まともなテン場にありつけるだろうかという不安もよぎった。テン場欲しさで藪の間から食い入るように谷を窺いつつトラバースしていると、少し後方に河原らしきものが目に付いたので、そこで降りることにする。降りてみると半ばゴーロの台地状の場所で、平地が少ないがひとまずテン場候補とする。念のためザックを置いて少し遡行してみるが、すぐに以東沢の出合となり、引き返して元の場所をテン場とした。
(記:望月)
8月11日(月)晴れ
このままでは横山沢に入ると12日中に下山することができない可能性が大であるため、前夜、以東沢に変更することをメンバーに話して了承してもらった。
泊場から数分で以東沢出合。以東沢に入ってすぐに砂地に足袋の足跡。「これはもしや吉原さんの物では?」「それはいくらなんでも早すぎるだろう。」などのやり取り。
以東沢は朝日の中では平凡な沢という評判であったが、前半部分はゴルジュの中に小滝が点在し、それなりに面白い。
笹原沢の出合でちょうど11:00となったので、長南Pと交信。なんと彼らは我々のはるか上流1300m地点にいるとのこと(我々は680m)。やはり先程の足跡は吉原さんの物であったか。脅威の速さである。
笹原沢から上は、滝と滝の間がゴーロになる。5m滝を左岸から巻くと、オーバーハングした大岩にすずめ蜂の巣。立ち止まって指差して見ている二人を促して、すばやく通過。
三日目となり疲れの溜まった私は、暑さもあって歩くスピードがだんだん遅くなり、二人に遅れがちとなる。先頭を行くモッチーは、高巻きなど適切にルートを判断し、我々を引っ張って行ってくれた。
小法師沢出合で二度目の無線交信。あちらはもう稜線直下の草原とのこと。いいなあ。
小法師沢の上の屈曲部は滝が詰まっていて結構面白い。しかしそれも束の間。やがて長いゴーロの中に時々滝、という渓相になる。このあたりが「平凡」と言われる所以か。
このまま何もなければ、以東小屋まで上がれるかなと思っていた矢先。それを拒むかのように、二俣の左俣部に20mの大滝が出現。滝身は登れそうもないため、少し下った滝の左側を登って高巻くこととする。まずは望月君に空身で登ってもらい、次に私が空身で登り、3人分の荷物を荷揚げした後、最後に山本さんが登る。不安定な草付きのトラバースをして、沢に降り立ったときには、もう薄暗くなりかけていた。
若干登ったところで時間切れ。立たなくても水が汲めるほどの広さの平地を整地して、タープを張り、今宵の宿とする。
8月12日(火)晴れ
7:00前に出発。少し登ると水が涸れ、なるべく沢型を拾いながら行くと、草原となり、藪漕ぎもなく稜線に出た。
以東小屋の前に荷物を置いて以東岳頂上に登る。360度の眺望にしばし見入った後、下山開始。大鳥小屋を経由して泡滝ダムに下り、最終のバスに乗った。
(記:増田)
<コースタイム>
8月9日:林道終点(9:25)〜三面小屋(11:35〜12:10)〜メダシ沢徒渉点(13:00)〜本谷入渓(15:00)〜メダシ沢徒渉点(16:00)〜ヒヨガラ小沢から本谷再入渓(16:50)〜泊場(17:10)
8月10日:泊場(7:10)〜ヨシズノ沢出合(10:00〜10:25)〜竹ノ沢出合(10:50)〜滝沢出合(11:50〜12:30)〜風倉沢出合(14:55)〜泊場(18:35)
8月11日:泊場(7:35)〜コジリデ沢出合(9:30〜10:00)〜笹原沢出合(11:00〜11:15)     〜子法師沢出合(12:50〜13:30)〜大滝上の泊場(19:00)
8月12日:泊場(6:55)〜以東小屋(8:05)〜以東岳(8:20〜8:35)〜大鳥小屋(10:00〜11:00)〜泡滝ダム(13:20)

<各人の感想>
【増田】
直前の落雷事故により急遽メンバーチェンジとなり、望月君や長南Pには迷惑を掛けた。しかし、望月君は泳ぎに高巻きにと八面六臂の大活躍。終始パーティーを引っ張って行ってくれた。特に三面本流には泳いで突破しなければならないところがあり、もし彼がいなければ、もしかして敗退していたかもしれないと思う。とにかく感謝である。
また、山本さんも初めての長期山行で、後半かなり疲れが見えてはいたが、がんばってよく歩いたと思う。次回からは荷物の軽量化に気を配るともう少し楽になるでしょう。
一番問題は自分自身で、仕事や家庭の事情でろくに山に行けていなかった付けが回り、体力的にしんどかった。特に後半は私がいつも遅れて一番最後で、皆さんの足を引っ張ったような感じである。なんだか毎年同じ反省をしているようで進歩がない。
しかし、ルート変更を行いながらも、新人を含めたパーティーで行ってこれたことは、まあ成功と言ってもいいのではないかと思う。
【望月】
数えてみたら5年ぶりの夏合宿だった。2泊以上の山行も久々で、体力技術とも低下していることが少々心配だった。ケガだけはしないようにと念じて合宿に臨んだ。
二日目の後半、荷上げをした場面で意思疎通がうまくいかず、時間と労力を余計に使ってしてしまったことが今回の反省点だ。声が聞こえなくても、藪の状況と増田さんの行動を見て、荷上げではなくザックを背負って登るということに変えたのだと気づければよかったが、そういう思考が働かなかった。(高い岩場の不安定な足場で、アブの群れに襲われている状態だったので、落ち着いて考えることもできなかった・・・。)ザイルを使っての人や荷物の上げ下げにはさまざまなパターンがあって、臨機応変にベストな方法を選べることが重要だということを実感した。
また、初日の入渓前に藪の中で踏み跡を見失い、小さな沢筋を越えられずに引き返し、本谷に降りたがそこが通らずで突破できず、また同じ踏み跡のところまで戻るということがあったが、3時間歩きまわった結果元の場所に戻ってしまったということはこれまで経験のないことで、印象に残った。もしその小さな沢筋を越えられるポイントを見つけられていれば、3時間分先に進むことができたはずだ。もしかしたら、そのポイントは自分のすぐ目の前にあったのに、ただそれを見落としただけだったかもしれない。実際どうだったのかはわからないが、ルート選択力というか、ルートを見出す眼力というのか、そういうものの重要性を感じた。たった一つのホールドを見つけるか見落とすかで、直登できるか大高巻きになるかの違いを生むこともあり得るだろう。今回の合宿ではこれまでになく先頭を歩くことが多かったこともあり、普通の河原や岩場を歩いているときでも、どこを歩いたら一番無駄が無く楽か、ということを意識して目を凝らすようになった。仕事でもないのでそこまで効率を重視する必要もないだろうが、一つ一つの小さなルート選択の積み重ねが、全体の行動時間や体力の消耗度合に影響を与えるということは強く感じた。
そうした教訓も得ながら、3泊4日すべて天候にも恵まれ、泳ぎや登攀も十分に楽しむことができ、充実した時間を過ごせた合宿だった。
【山本】
『祝! 初 夏合宿』
一泊二日の沢を過去1度しか体験したことの無い私が、無謀とも言える三泊四日の夏合宿に参加。食当(一日分)も初めて。なるべく軽量でおいしいものを・・ お酒は足りるのか? などなど、忘れ物はないかと出発直前まで荷物を出したり入れたり・・(これがたたり案の定シュラフカバーを忘れた)。
初の合宿は「朝日連峰を代表する三面川は長大かつ、その流域面積は連峰中最大」という三面川を遡行。エアリアマップで確認すると、なんと距離の長いこと。三泊四日とはいえこんなに長い距離を行けるのか、しかも沢で、と少々不安。しかもプレ合宿でメンバーの関さんにアクシデントがあり不参加となりさらに不安は募る。
合宿中の四日間は好天に恵まれ雨は一滴も降らず。三面川は雄大?壮大? なんて言葉で言い表せばいいのか・・。
近郊の沢へしか行ったことの無い私にとって、その懐の深さに何度も立ち止まり、深呼吸をする(なぜか深呼吸をしたくなった)。 記憶(頭)に残るというよりも、全身が覚えている、と言ったほうがいい。 へつりの最中手が離れ流されそうになったり、巨岩や小滝を越えるのにお助け紐を何度も出してもらったり、ロープで引っ張ってもらいながら対岸へ渡ったり(それでも溺れそうになり焦った)。そしてなんといっても虻の洗礼を受け、これでやっと沢人の仲間入り?などなど。
沢初心者の私が無事合宿を終えられ、お二人に感謝! 今後は、4日間も沢の中で過ごせる贅沢な時間をもっと楽しめるよう、荷物の軽量化と体力作り、いろいろな技術(泳ぎ・ロープワークなど)を学んでいこうと思う。

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