上越・足拍子岳クロガネノ頭北尾根

2009年2月7日~8日
L吉原、長南、関、小池

2009/02/07 上越:足拍子岳クロガネノ頭北尾根

 足拍子岳クロガネノ頭北面は、メジャーと言うルートからは対極にあるような人知れぬヤブ山のヤブ尾根であるにもかかわらず、個人的には興味深くいつの日にかと思っていた。

幾度かはトレースする機会はあったにもかかわらず、何故か未だ手つかずの場所であった。そんな個人的志向に端を発した計画ではあったが、不思議とメンバーが集まり出発の運びとなった。みんなで行くほど楽しいところでも、面白いところでもないのにねぇ

7日(快晴)旭原~クロガネノ頭北尾根~足拍子岳~南尾根1200m付近
 取付までの長いラッセルのことを考えると早い時間での出発が希望であったが、前夜の列車と仮眠場所の都合で朝一番の新幹線での入山となる。電車で山に行くことは、本当に不便になったものだ。驚くばかりに雪の少ない越後湯沢駅からタクシーで旭原手前まで(3600円)、車道脇から雪の段差を上がり、白い雪原と化した田んぼを突っ切りラッセル開始。ラッセルと言っても、ワカンを履けばスネ程度なので楽チン楽チン。正面にはこれから向かう足拍子岳のこじんまりとした山々が一望でき、本日の目指す北尾根のルートも良く分かる。まだピーク付近には雲が残っているものの好天を予想させる青空が大きく広がり始めている。天気も上々、ラッセルも楽チンとなれば山行完遂の期待も高まると言うものである。約1時間半のラッセルで北尾根の取付に到着、身支度兼大休止で準備を整える。流れの出ているコマノカミ沢を小さなスノーブリッジで渡ると、いきなりの急登開始、ワカンが新雪の下の雪面に小気味良く刺さり急斜面でも不安なく高度が稼げる。取付から一段上がると旧雪のクラストが堅くなったこととメンバーのワカン使いの様子から、この時期の足拍子としては珍しくアイゼンに履き替える。尾根上には大木がありこの雪質ならば雪崩れる心配も少なく安心ではあるが、時折現れるアイゼンでは踏みぬく隠れた落とし穴への気配りは重要である。尾根上は緩やかでも尾根両側は結構な傾斜があり、転べば谷底までの転落は避けられずチョッとしたケガではすまない。途中1ピッチちょっとザイルを使い、尾根末端の急登を終える。右側には荒沢山、右手奥には美しく尖ったピークの足拍子岳が見え、左には大源太山、背後には遠く巻機山が望むことができる。丁度お昼なので久々の昼食兼休憩、快晴無風の下、気持ちよく汗を冷やし、柔らかな陽射しで汗を乾かす。この先尾根は傾斜を落とし緩やかになり楽になるが、両側は相変わらず急傾斜であり油断はできない。登るにつれて背後の巻機山から続く白く輝く国境稜線が姿を現し、何の変哲もない上越の裏山を素敵な山に変貌させる。と思っているのは、私だけか?北尾根最上部のヤブで短くザイルを使い、両雪庇となったクレープの様な?アイスにかけたチョコレートの様な芸術的なリッジでさらに1Pザイルを使う。足下から谷底にめがけ雪板が次々と落ちてゆく。東尾根との合流点付近は、緩いながらも藪の少ないすっきりとした綺麗な尾根で美しい。夕方になってきているので足取りは重いが、ルートの完登も見えてきたので気持は高まる。気になるのは急速に広がりつつある黒雲、特に北にある巻機山の方向から広がってくる雲である。今夜からの悪天を連れてくる雲か?時間的には16時を回っているので当然終了の時間ではあるが、この先の足拍子岳頂上直下の急雪壁、そして明日にかけての悪天候を考えれば、歩みを止めることはしたくない。疲労の色が一番濃いメンバーでも自分のことをしっかり分析し、慎重に足を運んでいるのを確認して今日中に頂上を越える計算ができた。クロガネノ頭と足拍子岳間の稜線には雪庇の張り出しもなく難しさはない。足拍子岳頂上直下の急雪壁でザイルを1.5ピッチ使うと夕闇の包まれた頂上に飛び出す。周囲のスキー場には既にナイターの明りがともり、眼下の関越はオレンジ色の帯になっている。夜が迫りつつあるので、休憩もせず後ろからビレイしながら南尾根方向に急な尾根を下る。南峰とのコルで、「今日のへッデンでの下降」と「明日の悪天強風下での下降」の選択をメンバーで相談し、前者を選択する。私は夏に沢ぐるみに入会したため他のメンバーの長時間行動に関する判断ができず悩んでいたが、長南さんの即断と、一番疲れていたメンバーの自己分析とゆっくりではあるが慎重なしっかりとした足取りから方針を決定する。条件が厳しくなればなるほどメンバーを知り、それに基づいた信頼関係が必要である。ありがたいことに天気はまだ見方についてくれており、風もない。足下は薄雲から注ぐ月明かりで淡く輝いている。メンバーにも追い込まれた様子もなく、むしろこの幻想的な山を楽しんでいるかのような気持の余裕も少しばかりはあるので安心できる。ゆっくりではあるが間違いだけはしないように気をくばり、ザイルを使いながら下る。2時間以上かけ1200m付近の樹林帯まで下降し、遅い行動終了となる。幕場でも各自それぞれの仕事を滞りなく進めているのを見て、感心させられる。

8日(風雪後曇)幕場~南尾根下候~土樽
 明るくなってからの起床、ゆっくり準備をして8時30分過ぎから下降を始める。予想していたほどは天気が悪くはなく、樹林帯に入っていると言うこともあり下降には支障ない。下るにつれて雪が見る見るうちに少なくなり、落ち葉が現れてくるのに驚ろかされる。すっかりザラメとなった雪をくだり、魚野川右岸の車道に飛び出す。土樽から上越線で東京に向かうが強風で列車が不通、仕方なく新幹線での帰京となる。山の中でこの強風に掴まらなくて良かったと改めて思わされた。
 上越のヤブ山のヤブ尾根でいきなりの残業12時間行動ととんでもない山行であったが、まあ無事に下山できたので勘弁してください。いつもこんな山行をしているわけではありませんので、また付き合ってください。誰か付き合ってくれるかな~?みなさんお疲れ様でした。そして、ありがとうございました。(記:吉原)

<コースタイム>
7日:旭原(8:10)~取付(9:40~10:00)~北尾根末端台地(12:00~10)~クロガネノ頭(16:00)~足拍子岳(17:30)~南尾根1200m付近コル(20:30)
8日:幕場(8:30頃)~土樽(10:40)

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