大峰・旭ノ川中ノ川~白川又川中ノ又本谷下降~火吹谷

2009年5月2日~5日
L松之舎、佐藤、望月

2009/05/02-05 大峰:旭ノ川中ノ川~白川又川中ノ谷~同火吹谷

5月2日 晴れ
 夜行バスは予定より約1時間遅れて、五条駅に8時50分に到着。タクシーで1時間半ほどで中ノ川の出合に着く。天気は良く、水量は好天続きのため少なめのようだ。出合の滝を対岸に見ながら支度と昼食を済ませると、つり橋を渡って入渓した。

 入渓後すぐ、5m、4mの連続した斜瀑が現れる。5mの方を左岸から登り、その落ち口を徒渉して右岸へ渡る。シーズン最初の泊まりの荷物を背負っての沢山行で、足も慣れていないので、大事をとってお助け紐を使用する。
 ゴルジュの中を少し進むと、前方に40mの地獄滝が見えてくる。川の流れに直角に交わるように落ちているこの滝は、下流から見れば全体が見えるが、正面に立つと左からせり出した岩壁で下半分が隠れるようになっていて面白い。この滝は左岸から1時間弱の高巻きで、最後は懸垂で沢床に降りた。
 しばらく歩くと今度は30mの極楽滝が現れる。豪快に飛沫をあげて落ちる地獄滝と対照的に、この滝は細く静かに落ちていて美しい。右岸にトラロープかかっていたが、見た感じ楽そうな左岸を選ぶと、踏み跡もあり、十字峡で再度入渓となる。
 そこからは深いゴルジュ帯となり、2段12mの牛鬼滝から右岸を高巻いて進む。巻き終わると流れは少し穏やかとなり、モジケ谷を越えると右岸にモジケ小屋に着く。無人のこの小屋の前で小休止。流れの中を見ると、小ぶりながらアマゴがあちこちで泳いでいるのが見える。
 この先、ツナウチ谷のあたりまでの1時間ほどは、小滝やゴーロが続き若干ダレる。やがて再びゴルジュ帯に入ると、右岸がハング気味の高い岩壁となっており、なかなか迫力がる。ゴルジュ帯を抜け、杉の木谷を越えたところに小さな河原を見つけ、この日の泊場とする。当初は黒滝の上まで行きたかったが、バスの1時間遅れも考えれば、まずまずのペースだ。

5月3日 晴れ
 4時半起床、6時半出発。穏やかな流れの中、小滝をいくつかこなして行き、ササモト谷を越えると、黒滝に至る。40mほどのこの滝は、両岸が大きな垂直壁となっていて、非常にスケールの大きな景観を作っている。高巻きは右岸の小尾根からとりつき、滝の落ち口に簡単に降りられる。ここからはナメやナメ滝が続き、快適に進める。ナメが終わると、伏流のゴーロに変わり、そのまま傾斜が急になり、最後の詰めとなる。
 ここで一つアクシデントがあった。涸れたゴーロの詰めで、大きなチョックストーンの下の隙間を空身で通り抜けている時のことだ。先に松之舎さんが通り抜け、2番手で私が続いた。隙間を通り抜け、次の佐藤さんのザックを隙間から引き上げようとしていた時、背後で松之舎さんの叫び声とともに、岩の崩れ落ちてくる音がした。そこは傾斜がかなり急な場所で、上にいた松之舎さんの足場が崩れたのだった。後ろを振り向く暇もなく、半かがみになっていた私の背中に岩が直撃した。あとで見ると、両手で囲ったくらいの大きさの岩だった。その重みで押された私の体は、幸いにも元の隙間に押し戻され、岩はそこで引っ掛って止まったため、岩に押しつぶされずに済んだ。岩の当たり方も良かったのか、背中や腕に擦り傷を作った程度で済み、大事には至らなかった。
 その場で少し休んだ後、再び登り始めると、間もなく七面山に続く稜線に出た。
(以上記:望月)
                                
 「七面山」の道標に従い七面山(東峰、1624m)に登るが、登山道はここで行き止まり。引き返して「大峯奥駈道」の道標の方に進み釈迦ケ岳~弥山の大峰主稜線へ。
 中ノ又谷本谷左岸支流に向けて下降開始、急なガレ場が続く。1,100m付近の本流出合にきても水流は復活しない。僅かな水を見付け乾いた喉を潤しながらしばし休憩。下流左岸にドデカイ岩があるのだが、地形図には全く岩マークなし? この後しばらく巨岩ゴーロ帯が続き、900m付近からようやく水流がでてきた。中ノ又谷本谷の唯一の難所(?)、CS3m程の岩棚は懸垂で降りる。かなり上流の立木で支点をとったが、ロープはギリギリで足りた。40mでよかった。上ノ谷出合(わかりにくい)、ワル谷出合を過ぎた後、右岸の適当な場所を泊場とした(745m付近)。

5月4日 晴れ時々曇り
 泊場下流から渓相が綺麗になる。川幅が広がり、アノ谷出合を過ぎると広い川原になる。泊場候補地には困らない。白川又川本流出合手前のU字カーブあたりから暗いゴルジュになり、出合は左岸ゴルジュの隙間を高巻き本流に降りた。
(以上記:松之舎)

火吹谷
 穏やかな出合でしばし休憩後、両岸が狭まっている火吹谷に入ると、いきなり釜を持った3m滝。とても泳ぐ気にはなれず、白川又本流を少し下流に戻って大きく巻き、次の3m滝上に降りる。続く淵も深くて両岸が圧縮されている。少々しょっぱい巻きで追い上げられ、懸垂で降りた。続く12m滝も登れず巻いて懸垂。その先の6m滝も巻く。全く巻きばかりで少しも距離がかせげないと思いながら遡行していくと、次の2つは登れたが、右からガレ沢が出合う所から100mはあろうかという連瀑帯だ。枝沢も大きな滝となって落ちている。あの枝沢に出て巻くのだろうと思いながらの昼食後、このガレ沢から巻き始める。するとガレ沢を降りてくる2人組がいる。上の林道から降りてきたのだろうか。(前日に大峰の稜線から火吹谷左岸と思われる所に林道が見えた)
 さて、この巻きは最初の3段10m滝をガレ沢から巻き、次の20m滝上から再び尾根をトラバースぎみに登っていく。次第に傾斜も増し、高度感が出てきて私には怖かった。一旦、見えていた枝沢の滝上に降りるが、本流の両岸がまだ壁なので、枝沢を少し登って再び尾根を越してトラバースしていくと傾斜も緩くなり、沢床に降りる。約1時間30分の大高巻きだった。このコルジュも長い釜を持った5m滝で終わり、ナメの続く穏やかな渓相となる。じきに一の沢、続いて二の沢(右俣)が出合った。時間は早いが、この先にテン場適地が期待できないため荷物を降ろす。ここは昔に小屋でもあったのだろうか、緩い斜面に石垣が組まれていた。時間もあるので本流を少し遡ってみるが、ゴーロで面白くなく、早々に戻る。

5月5日 雨
 夜中から雨が降り始め、ツェルトの中で朝食を採り、パッキングをして出発する。本流に比べ右俣はナメで良い沢だと思うが、水量が少ないことと途中がゴーロとなるのが少し残念だ。水が枯れてゴーロ歩きの後に山道に出る。奥駈道(大峰は縦走路のことをこう呼ぶ)に出てから、携帯でタクシーを呼ぼうと何度か試みるが無駄だった。風も強く寒いので当初予定の天ヶ瀬に向かう。途中で昼食を採るが、雨足が強く寒いので早々に下山。天ヶ瀬バス停は公衆トイレしかなく、雨はしのげるが寒いので、2時間以上待つのは耐えられない。トイレに寄った親切な方にお願いし、上北山温泉に送ってもらって春合宿が幕を閉じた。
(以上記:佐藤)

<コースタイム>
5月2日 中ノ川出合発(11:25)~地獄滝(12:15)~極楽滝(13:35)~モジケ小屋(14:50~15:05)~ツナウチ谷(16:00)~泊場(16:40)
5月3日 泊場(6:30)~黒滝(6:50)~ナメ終わり(7:50)~七面山西川稜線(10:20)~七面山東峰(11:30)~大峰主稜線(12:25)~中ノ又谷本谷下降開始(12:45)~1,100m付近本流出合(14:15)~上ノ谷出合(16:15)~ワル谷出合(16:30)~泊場(16:45)
5月4日 泊場(6:20)~アノ谷出合(6:55)~白川又川本流出合(7:40)~火吹谷出合(9:10)休憩・発(9:40) 連瀑帯下(11:55~12:30) 巻き終了(13:55) ゴルジュ帯上(14:05~14:30) 二ノ沢出合(14:50)
5月5日 泊場(6:25) 三俣(8:45~9:05) 登山道(9:50) 奥駈道分岐(10:00~10:40) 途中の沢(11:35~12:05) 天ケ瀬バス停(13:10)

<1/25,000地形図>
辻堂、釈迦ヶ岳、弥山

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