朝日・大越~小沢源頭部~赤見堂岳~桧原

2010年4月3日~4日
L長南、守屋

2010/04/03 朝日:小沢源頭部ー赤見堂岳

3年前の2007年春。
当時はまだ他会にいた守屋さんと積雪期にはじめて小沢源頭部を訪れた。その時の記録の冒頭。
「今年は沢を絡めたルートは渡渉の程度が読めないので、月山から朝日の赤見堂方面へのルートを考えていた守屋さんと私が以前から温めていた小沢源頭のルートの入下山点の偵察を兼ねて、小沢源頭から赤見堂というルートを計画した。

結果的に小沢源頭の魅力的な山容を把握するため、赤見堂へは行かず小沢源頭の尾根、沢筋を探索してのんびりとしてきた」
翌年の2008年。赤見堂岳は保留して小沢源頭部をもっと探るべく魑魅魍魎とした地形大好きなトガちゃんと再び訪れる。その記録の冒頭。
「昨年に引き続き、小沢源頭部をテレマークで遡下降(登下降?)してきた。今回は小沢西俣源頭部から三足一分山方面の魑魅魍魎としたあたりがターゲットだ」
この年は東俣から中俣、そして西俣まで沢筋と尾根筋をほぼ把握できた。ただ三足一部山あたりは残してしまった。
そして昨年の2009年。春合宿として5名で訪れた時の記録。少々長いがそのまま引用。
「一昨年は、守屋さんと。大越から、なだらかな稜線に上がり振り向いて見えた月山に感動し、東俣や中俣をハーフパイプのように滑り遊んだ。昨年はトガちゃんと。三足一部山の南に広がる、これまた魑魅魍魎とした地形(トガちゃんの表現を借りると)を目指したが西俣まで。西俣のブナの純林の中を源頭から滑り下りるのはこれまでで最高の滑りであった。念のために書き添えておけば、この山域、決して滑り重視の方々にはお勧めできない。我々の沢と同じく、山深く、沢と沢を繋いで渡り歩く、彷徨テレマーカー向きである。
一昨年の記録の最後に私はこう書いた。
「こんなところでベースを張って沢胡桃のテレマーク合宿ができる日を待ち望んでいる」
まさかこんなに近い将来に実現できるとは思ってもなかったのだが。少々感激である。
ともあれ。今年は三足一部山方面へ足を伸ばし、赤見堂岳方面(特に楢山沢源頭)の偵察がメインの目的である。サブの目的はいうまでもなく、美しい小沢源頭部をゆっくりと楽しむことである。
なぜ、赤見堂方面なのか?赤見堂から先は大井沢方面からの記録が散見される。小沢源頭部から赤見堂・大桧原方面への偵察ができれば、来年は、この慣れ親しんだ朝日でも山スキーのルートを自分なりに引くことができるということだ」
この年は赤見堂の手前1272Pまで行き、その先の雪庇と薮の状態から赤見堂まで繋げるにはGWでは遅すぎるという結論に至った。
それを踏まえ今年は3月の3連休に大井沢~大桧原山~赤見堂岳~小沢源頭部の計画を立てたが天気に恵まれず中止に。
1泊ルートに短縮して、今回、守屋さんと私の3年越しの計画がやっと成就した。
金曜夜。高坂に21時集合し東北道を北上する。
3日は午後から夜にかけて上空を寒気を伴ったトラフが通過し北陸から北日本の日本海側は影響を受けそうな気配。
計画は桧原からのルートだったが吹雪かれると赤見堂は越えれられず、おそらく馬場平あたりで泊。そうなると翌日は赤見堂から石見堂へのエスケープが濃厚になる。なんとか赤見堂と大越を繋げたかったので、車中で逆コースに変更した。
大越からだと勝手知ったるルート。今日は源頭まで入っていれば明日7時間程度で抜けることができる。
月山第一トンネルを越え庄内側のいつもの駐車場に車を置く。
このあたりで積雪は2m程度。うっすらと昨日の雪が被っている。
駐車場から尾根に上がり旧道に出る。今年で4度目だが4月はまだ雪面が綺麗だ。
大越手前の旧道はおそらく通過困難だろうから、手前の沢沿いから尾根に上がりショートカットルートで大越へ出る。
天気はこれから本当に荒れるのだろうかと疑うほどよい。
大越からは月山を振り返りつつ登っていく。守屋さんとあのあたりを繋げば面白そうなルートが引けそうだと早くも来年のことを考えながらも先を急ぐ。
小沢東俣への下降点に着く頃には雪が舞いはじめ風も出てきた。シールをつけたまま沢沿いに東俣に滑り込む。
東俣に合流し遡る。時期が早いせいか流れが出ている箇所を脇から通過するには斜度がありすぎトラバースできない。右岸から高巻くがガリガリ斜面で少々嫌らしい。
結局、流れの出ている箇所を2箇所とも高巻いて源頭付近にでる。
このころから吹雪となる。時間は早いがここまできておけば予定通りの行程をこなせるので、稜線に出る前にツエルトを張り風よけのブロックを積む。風雪は19時ごろには治まったようだ。
翌日は快晴。無風で暑くなりそうな天気。
緩やかな源頭をそのまま詰めると鍋森への鞍部までは近い。鍋森は北沢の源頭をトラバースする。
昨日も垣間見ることができたが赤見堂への登りが見えてくる。結構急傾斜だ。今回は急遽、逆ルートに変更したので、アイゼン、ピッケルの装備はない。直前鞍部まで行ってみて雪面の状況次第ではそこで撤退も致し方ない。幸いに天気は上々。赤見堂の登りは10時を過ぎるころだから、いい具合に雪面がグサってくれるのを願いながら進む。
朝日は季節風の影響を強く受けるので雪庇は東側に発達する。沢も季節風で運ばれた雪と雪庇の落下で東面の沢の源頭は急峻になる。この鍋森-赤見堂間も例外ではなく、小沢源頭部の緩やかな源頭から打って変って東側は雪庇が発達し谷は落ちている。
昨年は雪庇を避け地面の出た西側斜面の薮を板を担いで通過した箇所は、今年は時期が早いので板を履いたまま通過。昨年の折り返し点の1272Pは西側の樹林帯をトラバース。鞍部まで赤見堂直下の楢山沢の源頭部を眺めながら滑る降りる。鞍部から稜線伝いに行くといつのまにやら雪庇の下に入ってしまう。風の影響か二重山陵のようになっていたのか。トラバースして先行する守屋さんに雪庇の合間に登れる箇所を探してもらい稜線に戻る。雪庇の下のトラバース中に雪面が流れかけ先々月の表層雪崩が頭をよぎりヒヤリとする。
できるだけ雪庇を避け西側斜面を進むようにするが、そうすれば今度はまだ堅い雪面のトラバース中に急斜度となりエッジを効かせ折り返しながら薮の濃く細い稜線に戻ることになる。雪庇を避け、急斜面のトラバースを避け、薮の濃く細い稜線を避け、とルート取りが難しい。ただうれい誤算で見えていた赤見堂への登りはひとつ手前だったらしく、稜線から続く赤見堂への登りはそれよりは緩いようだ。少々、安心したが、それでもキックステップが効かないような雪面だと撤退も致し方ない。
1331Pへは稜線の雪面が抉られスキーを履いては登れない斜度になっているので板を担いでツボ足で登る。1331Pからの下りもとても滑る幅はなく、そのままツボ足で下る。
鞍部からの赤見堂への登りは見た目それほど急ではない。ところどころ潅木もある。が、スキーを履いては滑落が怖いので板を担いで登りはじめる。
少々堅い雪面はキックステップが効く。ところどころ効かないところがあるので、やはりこの時期はアイゼンがあった方が安心だ。登るにつれ徐々に傾斜は緩くなる。赤見堂の頂上付近は緩やかで朝日主稜線を北東方面から眺められる絶好の展望台だ。これより北東に延びる石見堂方面もなだらかで面白そうな尾根が続いている。
頂上は絶好の展望台だが、風が強いので少し下ったところで大休止。おおいに展望を楽しむ。
大桧原山方面へはなだらかな稜線が細かくアップダウンを繰り返しながら続いている。分岐までシールをつけたまま稜線漫歩を楽しむ。これより先は大桧原川右岸尾根への分岐(1349P)までは問題なさそうだが、障子が岳への登りはかなり細い。近くまで行ってみないとはっきりとはわからないがロープが必要になりそうだ。当初予定では大桧原山を経由し長沢源頭と左右岸尾根、北沢の源頭部あたりの偵察をするつもりだったが、このあたりは次回の宿題としておこう。
1327m分岐から桧原までの尾根にシールを外して滑り込む。快適の上に「超」がつくほどの上機嫌な滑り。これも今年は良雪に恵まれなかったからかもしれないが、核心部を越えて緊張感からも開放され天気も上々。これ以上ないシチュエーションにほくそ笑む。
途中、登ってくる仙台の4人パーティに会う。赤見堂岳ピストンだそうだ。下はかなり状態が悪いらしい。尾根はブロック割れしていて細尾根は危ない箇所が何箇所かあるとか。やれやれ、まだ気が抜けないということか。
それでもまだまだ快適な滑りは続き、小さな登り返しもシールをつけずとも乗り越せ馬場平に出る。
なるほど馬場平はその名の通り、馬場にできるくらい平でだだっ広いところだ。ここから振り返る赤見堂岳は裾野が広く、その標高以上に大きく見える。
快適な滑りをもたらしてくれていた雪質も、気温があがり、下るにつれグサグサの雪になってきた。なかなかターンがきびしい。900mあたりから尾根は割れ斜面はずり落ち、ところどころ地面が出てくるようになる。尾根も細くなってきたので早々に板を脱ぎツボ足で下る。地形はこのあたりから複雑になり本来なら地図と磁石を見ながら下るところだが仙台パーティのトレースのお陰でグイグイとツボ足で下っていくが、膝上くらいの腐れ雪でたまに身体ごと嵌まったりして意外と時間を食う。靴に水が溜まりはじめ靴擦れができそうなあたりで雪に埋まった田んぼに出た。
田んぼを横切り桧原集落の除雪終了点で道路へ降りた、その目の前にそば屋の暖簾があった。
これはなんと好都合な。ここでタクシーを呼べる。が、なぜこのそば屋の暖簾は山を向いてるんだろうか?
そば屋のご夫婦の話をいろいろと伺いながら堅い板そばをいただき、送ってくださるというご好意に甘え月山第一トンネルのパーキングまで送っていただいた。
久々の会心の山行の後に気持ちの良い人に出会えて幸せな山行となった。(記:長南)
<コースタイム>
3日 月山第一トンネル出口P8:00-大越9:00-東俣下降点10:15-源頭BP11:30
4日 BP7:00-1272P8:00-10:20赤見堂岳10:30-1327m分岐11:15-900m付近(板を脱ぐ)12:15-桧原14:45
<1/25,000地形図>
湯殿山・赤見堂岳

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