南ア:大井川赤石沢

2010/09/18 南ア:大井川赤石沢

2010年9月18日(土)~20日(月)
L増田、五十嵐、関、小南

 
年度初めに今年は南アルプスの沢をやってみたいと抱負を述べつつもなかなか実現せず、9月の3連休を逃してはもう行く機会がないと、赤石沢を計画した。赤石沢はご存じのように南アルプスを代表する名溪であるが、それだけではなく南アルプスの盟主赤石岳へ登り、そこから南アの南部を俯瞰してみたかった。

赤石沢に入るには東海フォレストの軍門に下って山小屋に泊まらざるを得ないのだが、目的達成のためにはそれも仕方ない。

9月18日(土) 晴れのち曇り
前夜は千頭駅隣の道の駅に泊。翌朝5時起きで畑薙第一ダム駐車場を目指す。同所に7:00に着いたが、すでに駐車場には多くの車が並び、リムジンバスを待つ人の長蛇の列。我々も準備をしてすぐに並ぶが、惜しくも第一陣から漏れ、約一時間のタイムロスを強いられる。
牛首峠でバスを降り、すぐに沢に下って準備をして出発。同じバスで降りた男性4人組が我々の前に出発。彼らはお盆の時に来て、水量が多く取水堰堤で敗退したとのこと。その時に比べれば今日は水量がとても少ないとのことであった。
初めはしばらくゴーロ歩きが続く。苔でやたらと石が滑り、アクアステルスのコナンちゃんは歩きにくそう。やがて岩魚渕と思しき淵が現れる。ここは左岸をへつって落ち口を対岸に渡り簡単に越えられるが、水量が多いとこの渡渉ができない。左岸の高いところに残置シュリンゲがあり、取水堰堤がなかったころの水量の多さが想像できる。
その後いくつかの渕を超え、ニエ渕で先行パーティーに追いつく。コナンちゃんが渕を泳ぎ切り、先行パーティーから「すばらしい」の賛辞。滝の左の窪みに上陸し、滝左の壁を越えて落ち口に立つ。後続はザックピストン。
ここからしばらくは巨岩ゴーロ帯が続き疲れる。いい加減嫌になってきた頃、取水堰堤が現れる。事前に「山の中に忽然と現れる人工構造物」という記事をいやというほど読んでいたのでそれほどの驚きはない。「ああやっと来たか」という感じ。それよりも、取水堰堤より下流は水量が少ないせいで沢全体が藻臭い。多摩川下流部などで嗅ぐあの臭いである。堰堤上はバックウォーターになっているため、右側のステップを登って超えた。
北沢の出合を過ぎてしばらく歩き、右岸から水量からして明らかに白蓬沢と思われる支流が合わさる。ここに門ノ滝があるはずであるが?ない。門ノ滝はそこからかなり上流にあった。登山体系やガイドブックの記述とは食い違うが、敢えて門ノ滝の所で右岸から出合っている沢と白蓬沢とは別であると記録させていただくことにする。
門ノ滝は写真で見るよりはるかに迫力がある。写真だとアングルのせいでどうしても低く見えるのだが軽く20mはある。右岸に明瞭な巻き道があり、先行パーティーは右岸から合わさる枝沢を超えて高巻いている。我々は五十嵐登攀隊長にお願いして滝の左を登ることにした。五十嵐さんはザックを背負ったまま何事もないように登っていく。流石である。私も後で確保してもらって登ったが、自分なら空身でないと無理だ。
大きな岩が流れを塞いでいる5mの滝は、岩の右側の穴をシュリンゲをアブミ代わりにして空身で中段に抜け、さらにもう一段シュリンゲアブミで超えて荷揚げ。みんな良いチームワークで手早く作業を行う。
その上が大ガランになっている。大分前から先行パーティーの焚火の匂いがしている。そろそろ薄暗くなりかけてきた。我々の泊るスペースはあるだろうか。
大ガランの上には右岸に2か所のテン場適地があるが、そこは既に件の4人パーティーと男女ペアの1パーティーに押さえられてしまっていた。我々は五十嵐さんの見つけてきた対岸の岩陰に小南建設主導による大規模造成工事を施して、なんとか4人が横になれるスペースを確保した。他の2パーティーも見えるところであるが、この期に及んで贅沢は言っていられない。しかし、薪が豊富で十分な焚火ができて満足できるテン場であった。

9月19日(日) 晴れ
翌朝は他の2パーティーが出発してからの出発となる。この2パーティーとはこの先下山まで相前後して行動することになった。
テン場から上は再び巨岩ゴーロの世界である。釜を持った滝のところで、4人パーティーが釜の出口の渡渉を躊躇していると、コナンちゃんが行ってさっさと渡って追い抜いた。
しばらく行くと正面の急なルンゼを2人パーティーが登っている。不思議に思ったが、ここは本流が大きく右に屈曲する、大ゴルジュの入口であった。左からは連瀑をかけてシシボネ沢が出合っている。我々もセオリー通り正面のルンゼから巻き始めた。全体に巻き道がしっかり付いていて特に問題はない。一か所いやらしい所で五十嵐さんが木の根にシュリンゲをかけてくれたのだが、それを残置と勘違いした私は回収せずに置いてきてしまった。あんないいテープを残置する奴はいないか。五十嵐さんごめんなさい。
高巻きが終わると沢は再び巨岩ゴーロ帯となる。この沢は一言で言って巨岩ゴーロ帯の沢である。その中に時々渕や滝があるという感じ。確かにラジオラリアの赤い岩はきれいであるが、それも二日目ともなると慣れてしまってどうってことはない。
大雪渓沢(地形図上の獅子骨沢)を通り過ぎ、そして大渕に到着。丸い大きな淵で深さは5~6mあろうか。吸い込まれるような透明ブルー。関さん曰く「絶対ここには主が棲んでるよ。」本当にそう思わせる神秘的なところだ。ここに泊まってみたいと思った。てなことを思っていると、そんなものに興味がないのか、コナンちゃんはさっさと左から回り込んで、残置シュリンゲにシュリンゲを足し、振り子トラバースして滝の左を登って行ってしまった。
滝沢の出合の滝壺でコナンちゃんが岩魚を見つけ、二人で協力して手掴みゲット。丸々と太った尺岩魚であった。裏赤石沢との二俣で大休止し、関さんとコナンちゃんは裏赤石沢に釣りに行って関さんが1匹ゲット。
百間洞に入ると沢は開け、両岸が低くなってゴールが近いことを感じさせてくれる。12mのすっきりした滝は左岸から高巻き、いやらしい斜めの岩盤をザイルを引いて超える。そこから先は特記すべきものはなく、源頭の雰囲気の中、3人は疲れた足を引きずるようにして五十嵐さんの後を追う。地形図ではもうそろそろ右岸に百間洞山の家を見てもいい頃だがなかなか現れない。しばらく行った左岸の斜面に道があり、そこを登ると山の家が見えた。地形図で「百間洞露営地」と書かれた辺りだ。振り返ると右岸の下の方に旧館の屋根が見える。帰って調べると、92年に今の場所に新しく建て替えられたとのことであった。
きれいな建物で、1階が食堂、2階が寝る場所になっていて、2階はさらにロフト形式で2層に分かれている。我々は2階の上層を割り当てられた。自炊場は地階にあるが狭くてカウンター形式なので使いにくい。食事付きの人たちの食事が終わる18:00頃に食堂が解放され、消灯の20:00まで使えて、コンロを使ってもOK。岩魚はそこでフライパンで焼かれ美味しく戴いた。ビールは350mlが500円、500mlが800円。500mlを2本飲んでしまった。20:00消灯というのはいささか物足りないと思っていたが、疲れた体に酔いが回り、延長戦をすることもなく、定刻過ぎに眠りに着いた。

9月20日(月) 晴れ
今日は赤石岳を経由して椹島まで長丁場の下山。小屋の人に聞くと早い人で6時間、遅い人で11時間とのこと。自分たちの時間が読めないので、余裕を見て5時過ぎに出発。山小屋からいきなりの登りの連続となる。明るくなり始めた斜面をただひたすら登る。百間平で朝日を見た。自分たちの登ってきた赤石沢を挟んで対岸にドーンと聖岳が座っている。百間平を通過し、登山道は赤石岳の山腹に張り付くように斜上している。
五十嵐さんと関さんはどんどん登っていく。コナンちゃんと私は大きく遅れる。女は強し。避難小屋に二人にかなり遅れて到着し、一休み後山頂へ向けて出発。赤石岳山頂は360度の展望。東に富士山、北には目の前に荒川岳(悪沢岳)の稜線。その向こうに塩見岳、甲斐駒ヶ岳、千丈ヶ岳、さらに向こうに北岳。南に眼を移すと、目の前に聖岳~兎岳~大沢岳の稜線。その向こうに上河内岳。3人は先に出発したが、私はその眺めがもったいなく、しばらく山頂に留まっていた。
小赤石岳への分岐から登山道は北沢源頭部を下り、富士見平、赤石小屋を経由して椹島ロッジに13:00着。最終バス(14:00)まで1時間の余裕があった。やはり5時に出発しておいてよかった。 (記:増田)

<コースタイム>
1日目;畑薙第一ダム(9:00)~入渓点(10:05~10:30)~取水堰堤(14:35)~大ガラン上の泊場(18:00)
2日目;泊場(7:10)~大ゴルジュの高巻き終了(9:00)~二俣(12:25~13:50)~百間洞山の家(16:45)
3日目;百間洞山の家(5:10)~百間平(6:00)~赤石避難小屋(7:40)~赤石岳(8:00)~富士見平(9:30)~赤石小屋(10:05~10:30)~椹島ロッジ(13:00)

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