大峰:神童子谷ノウナシ谷・犬取谷

2011/05/02-04 大峰:神童子谷ノウナシ谷・犬取谷

2011年5月2日~4日
L大塚、松之舎、佐藤(琢)

5月1日 雨
前夜発の五条行き夜行バスに乗り大和八木で下車する。近鉄に乗り継ぎ下市口の駅まで行くが天候が今一つなので、日程を一日スライドさせて洞川温泉に泊まることにする。この日は修験道の歴史が色濃く残る温泉街を散策。

5月2日 晴れ
洞川温泉から神童子谷までは、御手洗渓谷遊歩道、国道309号、林道神童子線を約4時間かけてのアプローチとなるが、新緑と山桜が見頃なので春の訪れの喜びを味わいながらのんびりと歩く。林道終点からは左岸沿いに古い桟道があるが崩壊しているので直ぐに谷に降りて遡行を開始する。
本流下部の見所は赤鍋滝のみ。下から5.2.4mの連瀑で、最初の5mは水流右を登り、次の斜瀑2mはヌメッタ水中をフリクションで誤魔化しながら登り、最後の4mはロープを引いて釜に浸かって水流左に取り付き、乾いた側壁を落口に向けて斜上する。今回は水量が少なかったので難なく登れたが、三段それぞれの滝が釜を持っているので増水時は要注意だろう。
赤鍋滝から先は両岸開けた渓相になり、しばらく河原を歩くと二俣の釜滝が懸かる。二条の滝で左は犬取谷の水が流れ込み右はノウナシ谷の水が流れ込むきれいな滝だ。左岸から容易に高巻くと滝上の二俣は台地になっており、ここをベース地に決めて行動終了とする。

5月3日 曇り
二俣のベース地からノウナシ谷に入り、直ぐの5m滝を右岸のバンドから小さく高巻く。しばらく行くと、左岸から下降予定の田ノ小屋谷が伏流で出合い、続いてイワシ谷が出合う。この辺りは開けたゴーロが続き平凡。しばらく単調な沢歩きが続くが、カラ谷が出合いを過ぎるとノウナシ滝40mが現れる。両岸が高い岩盤に守られた見事な滝だ。しばし観賞の後、少し戻り左岸小尾根の潅木帯から巻き上がる。最後は岩盤を右から回り込むように高巻いて谷に降りる。
続いて沢が左曲するところに千手滝10m。この滝も両岸岩壁に阻まれ手の出しようがないので、滝の直ぐ手前の左岸ルンゼから巻き上がる。少し登ると途中から落口に向かうバンドがあり、そこにルートを取るか、このままルンゼを大高巻きするかかなり悩んだが、落口に向かうバンドは最後が行ってみないと分からない感じで高度感もあるのでロープによる確保は必須。この日の行程はノウナシ谷をツメ上がった後、記録のない田ノ小屋谷の下降もあるのであまり時間はかけたくない。きわどい小巻きよりも大高巻きの方が時間的に早いだろうとルンゼからの大高巻きを選ぶがこれが裏目に出る。ルンゼは高度を上げるほど悪相になり逃げ場のない落石多発地帯になる。落石を避けるため三人が離れず行動しながらルンゼをツメてゆくが、ルンゼの抜け口がチョックストーン状になっており、ここを越えるのに一苦労。ルンゼを抜けても支点の取れないグズグズのトラバースが待っており、ここは支点なしの丸腰でロープを引いてなんとか潅木のある安全地帯に抜けた。標高差にして約250mほど追い上げられる2時間の大高巻きとなってしまった。下降は小支流を下ってロープレスで谷に戻ることが出来たが、降りたところは千手滝の上にあるという馬頭滝の落口で、どうやら核心部を大きく巻いてしまったようだ。
谷は開けて平凡になるがしばらく行くと地蔵滝30mが懸かる。左岸から簡単に高巻くとハリンド谷が出合い、あとは小滝がいくつかあるが難所はなく、最後は1569mピークの北側鞍部にツメ上がる。
登山道で大普賢岳を越え国見岳手前の鞍部まで行き、田ノ小屋沢の下降を開始する。地形図を見る限り上流部は傾斜が緩いが、中流部から下流部にかけてはそれなりに等高線が詰まっているので滝はあるだろう。難所があれば日没と競争しながらの下降になるかもしれないと考えたが、予想に反してこの沢は何も無い。中流部につぶれた小屋があり植生も植林が多く人臭い。滝らしい滝は下流部に5m程の滝があるだけで登山道並のハイペースで下降することができ、16時にはベースに帰着できた。
この日の夜は焚き木に火を付けるとポツポツと弱い雨が降ってきて、夜半から朝方にかけては一時本降りの雨になった。

5月4日 晴れ
神童子谷の本谷である犬取谷に入る。レンゲ坂谷の出合いまでは平凡な渓相だが、ゴーロ歩きに飽きる頃合を見計らって、二段7mの滝と、12mの滝が適度な間隔で現れる。登山大系によると下流部からニノ滝、一ノ滝になっているが、エアリアマップではその逆になっている。両滝共に名前を付ける程の滝ではなく、共に左岸から小さく容易に高巻く。
右岸から小沢が入ると小滝の連瀑を前衛にした犬取滝20mが現れる。これは右岸を下流側に戻りながらの大高巻きになったが踏み跡が拾えるので楽。犬取滝を越えると再び開けたゴーロになりしばらく行くと雪渓が沢の半分を埋めるようになる。その正面には多段滝をかける小支流が入り本流は5mの滝をかけて右曲している。右岸から笹谷が入り小滝をいくつか越えて行くと、大きな落差を持つ滝が見え隠れするようになる。ジョレンの滝だ。滝下から落口は見えないが落差は二段から三段で70m程か。これも右岸の尾根からの大高巻きになるが踏み後が拾える。やはり犬取谷は神童子谷の本流だけあってノウナシ谷よりは人が入るようで、高巻きのルートファインディングは楽だ。
この滝を越えると沢は源頭の様相になり最後の三俣は稲村小屋にツメ上がるのを避け、右の谷筋に入り登山道にツメ上がった。登山道を洞川温泉に下山。観光客で賑わう洞川温泉の日帰り温泉施設に立ち寄り、柿の葉寿司を買って帰京した。
(記:大塚)

<コースタイム>
5/2 洞川温泉8:50~林道終点~13:00~入渓13:50~神童子谷二俣(BC)15:40
5/3 BC7:00~地蔵滝下10:50-11:05~登山道12:10~大普賢岳13:10-20~国見岳手前鞍部下降地点14:05~BC16:00
5/4 BC7:30~レンゲ坂谷出合8:20~犬取滝下8:35-8:45~ジョレンの滝下9:50-10:05~登山道11:05-11:30~洞川温泉13:40

<1/25,000地形図>
弥山

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